時間と期間の認識ギャップ

「時間がかかる」というのは普通に使われている言葉で、日常会話では当たり前のように口にしています。しかし、ビジネス上や報道での言葉となると、使い方を考えないと間違いにもつながりかねません。トラブルを起こした例もあり、微妙な感じのときには時間でよいのか、それとも長い期間がかかるのか確認をするようにしています。「もう少し時間がほしい」と言われ、数時間のちに催促をしたら「3日後にしてほしい」と言われて、“これは期間のことだったのか”と気づいたという話をしていたのは週刊誌の編集者です。
新聞の編集者が「時間がない」ということを言った場合には、本当に時間がなくて1時間も延ばせばいいところで、数十分、数分ということさえあります。まさに待った無しの状況です。月刊誌の場合には、月に1回の発行であっても締め切り間近では、印刷所に無理を言って1時間ということもありますが、まだ1日はあるというのが「時間がない」という感覚です。それよりも短い時間であったら、いつまでというギリギリの期限を伝えてきます。
ネット情報となると、間に合わない場合には、よろしくはないのですが、とりあえずアップさせておいて、あとで修正するという手がないわけではありません。それに比べると印刷物の情報となると、時間は時間、期間は期間と使い分けて伝えてくるので、こういったメディアに原稿を出すときには、こちらも時間と期間は使い分けています。原稿だけでなく、長い期間が必要なものは期間と、時間単位で済むものは時間と言います。
しかし、間に他人が入っていると、その人にとっては他人事であるので、いいかげんな伝え方にもなりがちです。この他人事という言葉ですが、“ひとごと”とパソコンに打ち込んでも、“たにんごと”と打ち込んでも同様に“他人事”と変換されます。たにんごとでは変換されなかったら間違いは起こらないのですが、それは今は望めません。なぜ他人事の話を持ち出したのかというと、間に人を入れた状態で雑誌編集者に伝えてもらったところ、掲載された文章は「他人ごと」となっていて、“ひとごと”と読んでもらわないと意味が通じないのに“たにんごと”と読まれるようなことになって恥をかいた、出版社には恥をかかせたことを経験しているからです。
これも時間がない中での出来事で、もっと期間があるときに校正を送っていれば起こらなかったはずで、これは反省するしかないことです。