有酸素運動をしてブドウ糖の取り込みを増やす

有酸素運動をすると脳細胞にブドウ糖が取り込まれやすくなり、ブドウ糖が脳細胞の中で効率よくエネルギーとなり、脳の働きがよくなっていきます。どうしてなのかということですが、有酸素運動をすると細胞内にブドウ糖を運ぶGLUT4という輸送体が細胞膜に近づいてくるからです。GLUT4は普段は細胞の中側にあって、膵臓から分泌されるホルモンのインスリンの刺激を受けることによって細胞膜に近づき、ブドウ糖を取り込みます。ブドウ糖を取り込むのにインスリンが必要になるのは、この仕組みがあるからです。
日本人はインスリンが分泌されているのに細胞への取り込みがよくない人が多く、このタイプはインスリン抵抗性と呼ばれています。このインスリン抵抗性のために、インスリンが分泌されているのに糖尿病になる人が日本人には多いのです。だから、インスリン抵抗性の人は有酸素運動を行うことが必要となりますが、糖尿病でなくても有酸素運動をするとブドウ糖の取り込みが進みます。
有酸素運動は筋肉の中でも赤筋の働きを高めて、脂肪酸を効果的に燃焼させます。ブドウ糖を主に燃焼させるのは白筋のほうなので、赤筋の働きをよくする有酸素運動ではブドウ糖が効率よく取り込まれないように思われるかもしれません。しかし、有酸素運動を始めてから効果的に脂肪酸が燃焼されるようになるのは10〜15分はかかります。それまでの10〜15分はブドウ糖が多く燃焼されています。ブドウ糖は、すぐにエネルギーとなるので、運動を始めたときにはブドウ糖が優先的に使われるのです。
有酸素運動には細胞内のミトコンドリアを増やす作用があることが知られています。ミトコンドリアがもともと多いのは筋肉細胞なので、有酸素運動をすると多くのエネルギーが必要になることから、筋肉の中のミトコンドリアを増やして対応しようとします。だから、歩いてブドウ糖を多く燃焼させようと思ったら、歩くことによって筋肉を増やすしかない、ということになります。その歩き方も、筋肉の刺激を強くするために歩幅を広げ、前傾姿勢になって勢いよく前進するという歩行法にすることで歩くほどに筋肉量を増やして、燃焼効率がよい筋肉にしていくことができるというわけです。