朝食抜きは脳のエネルギー不足につながる

朝食抜きはエネルギー代謝に必要なビタミンB群のビタミンB₆とビタミンB₁₂が不足するという話の続きで、もう一つの朝食抜きがいけない理由である脳のエネルギー源の保持時間について紹介します。人間の全身の細胞は60兆個ほどだとされています。そのうち脳以外の全身の細胞はエネルギー源として糖質、脂質、たんぱく質を使っています。細胞の中のミトコンドリアにエネルギー源として取り込まれているのはブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸です。ところが、脳細胞だけはブドウ糖しか使えない、つまりブドウ糖が唯一のエネルギー源となっているのです。
こう説明すると、脳細胞にブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸が入っても、ブドウ糖しか使われずに、脂肪酸とアミノ酸は無駄になる、というような印象が抱かれるかもしれません。実際には、脳細胞につながる血管の膜にある血液脳関門を通過できるのがブドウ糖だけなので、ブドウ糖が脳の唯一のエネルギー源になっているということです。
血液中には常にブドウ糖が流れています。このブドウ糖が血糖で、血糖値は血液中のブドウ糖の量を指しています。このブドウ糖が充分にあると脳細胞にも不足することなくブドウ糖が送られていきます。夕食を食べて、翌日の朝食までは12時間ほどの時間があります。脳細胞に取り込まれたブドウ糖は15時間ほどは保持されています。これを過ぎると急激に減っていくことになるのですが、朝食を食べて糖質に含まれるブドウ糖が補われれば、脳の機能が低下するようなことはありません。
ところが、朝食を抜くと、15時間が経過した10時ころにはブドウ糖が不足し始めます。12時に昼食を食べることができたとしても2時間は不足した状態となります。
そのために記憶力や集中力が低下するということもあるのですが、一番の問題は全身をコントロールしている脳の働きが充分ではないことです。1日に2時間ずつ、そんな時間帯があったのでは健康に影響が出るのは当然のことです。朝食といっても飲み物だけ、サラダだけではブドウ糖は充分ではありません。糖質が含まれる、ご飯、パン、麺類などは朝食では少なくてもよいので摂らないわけにはいかないのです。