未病息災は何をすることなのか

未病は健康と病気の間の状態を指します。日本未病システム学会が定義していますが、未病状態であっても健康で過ごす方法があり、それは「未病息災」と表現されています。未病息災をテーマにした書籍が登場したのは2006年1月のことです。この書籍の著者の一人は同学会の前理事長(三代目)の福生吉裕先生(老人病研究所所長)です。雑誌に初登場したのは2006年3月発行の月刊情報誌『健康日本』(日本健康倶楽部)で、この著者は同学会の元理事長(二代目)の都島基夫先生(神奈川中央病院理事長)です。『健康日本』は、日本メディカルダイエット支援機構の理事長が編集委員をしていて、都島先生を執筆者として招き、年間連載を始めました。
タイミング的には書籍が先かもしれませんが、『健康日本』の企画段階では書籍は発行されていなくて、どちらも偶然に発案した言葉です。今、「未病息災」でネット検索すると未病息災推進協議会がトップに出てきて、上位の多くも、この協議会の各ページです。この協議会の理事長は都島先生で、ちなみに設立時の専務理事を務めたのは当法人の理事長です。
未病状態というのは血圧や血糖値、中性脂肪値などが高くても、まだ本格的な病気にはなっていない段階を指しています。そのまま放置しておくと高血圧症、糖尿病、脂質異常症になり、その先の合併症によって脳卒中や心筋梗塞となり、ここまで進むと元には戻せなくなります。
東洋医学的には検査をしても変化は見つけられなくても、体調不良を訴える状態です。これを未病としたら、検査数値が正常範囲を超えているのは病気ということになります。これに対して西洋医学的な未病は、自覚症状はなくても検査数値に異常がみられる状態で、これなら原因も治療法も判明しているので、元の状態に戻すことができます。
この未病の状態で、もしも高血圧症や糖尿病と診断されたとしても、身体的に健康状態が保たれていて、「息災」であるなら、徐々に生活改善していくことで、健康状態とすることができます。この健康になれる状態で健康づくりに取り組むことが「未病息災」だと考えています。
未病息災は何も西洋医学の未病状態になった人だけを対象にしているわけではなくて、50歳を過ぎたら誰もが未病状態と扱っています。というのは、病気の最大の危険因子は加齢で、50歳を過ぎたら検査数値が正常範囲内であっても何らかの体内の変化が起こっていて、早く対応することで病気にならないようにすることも可能です。本来なら個々によって対応は異なることは承知していますが、全員に通じる方法があり、これは生理学研究に基づいた手法です。その一つがメディカルダイエット研究によって突き止められた食事と運動、運動と休養、食事と休養のタイミングによる代謝促進と効果的な体脂肪調整の方法です。
誰にも通用する共通したプログラムを作るのが私たちの役目であり、その実践法として未病息災プログラムを開発しているところです。