本当なのか冗談なのかをチェックも仕事のうち

本人は冗談で言っているつもりなのに、聞いている方が冗談と思わず、これがきっかけで認知機能の低下がわかった、という話を前回したところ、これを見て、納得できるという反応がありました。いつもは即座の反応はネタ探しをしているメディア関係者に多いのですが、今回の反応はセミナーを開催している公益法人の事務局の方でした。講演者が話したことが冗談なのか、本当の話なのかを理解しておかないと、後になってトラブルを起こしかねないといいます。
運動科学の先生が「心臓がドキドキするのは身体によくない。ドキドキしていいのは女性の前だけ」という話をしたとのこと。なかなか面白い冗談ですが、話をしていた先生が運動の専門家だけに、「心臓がドキドキする運動はよくない」という話をしたのだということになってしまい、「健康によいのは心拍数が高まらない軽い運動」という話が広まってしまったといいます。
どれくらいのドキドキが健康によいのかということは、対象者や年齢などによって違ってはくるものの、心拍数が高まらないようなものは運動とは呼べないというのが大半の考えです。心拍数が高まらなくても健康効果が高められるなら、それはよい方法で、そのノウハウを是非とも知りたいと私たちも思うところです。
しかし、後になって、その先生に聞いていたら、そんなつもりで話していないということで、冗談は言い方に気をつけないと、とんでもないことになるとの話をさせてもらいました。主催者は冗談で言っているのか本心なのかを見極めなければならないのは当然のことで、次に参加者が真に受けていないかを確認するのも必要です。そのため、私たちのスタッフは講演者の顔を見るよりも、参加者の表情に気を使うようにしています。
日本メディカルダイエット支援機構の理事長が、機能性表示食品の広報を行っていたときのこと、講演の中で、機能性表示食品につけられるマークの鮮明な画像がなかったようで、ボケた画像を出していた先生がいました。そのことを伝えてくれればよかったのに、その先生は「機能性表示食品のマークは、パッケージに表示することができるだけで、こういった場ではボカさないといけない」という話をしました。もちろん冗談で、事実ではないのですが、あとになって事務局に「なぜマークをボカさないといけないのか」という質問があって、困ってしまったということがありました。
こんなことがあると、冗談を言う前に、「これから冗談を言います」とか「これは冗談ですけれど」と断りを入れないといけなくなってしまうのではないかと感じています。このような勘違いを引き起こすのは、あまり冗談を言い慣れていない方が、場を和まそうとして口にすることが多く、言い慣れていない人は冗談を言わないほうが得策かもしれません。