桃太郎の日本一は何を意味するのか

三太郎として有名な桃太郎、金太郎、浦島太郎。金太郎は平安時代後期の武士の坂田金時(公時)の幼名だということで、浦島太郎にも金太郎にも名字があるのに対して、桃太郎は名字がありません。こんな話を子供にすると、「桃が名字で太郎が名前」という答えが返ってくることがあります。桃がつく名字は桃井、桃田、桃園、桃原、桃枝、桃里、桃吉、桃林、桃内、桃江、桃川、桃木など多数あります。なぜか新潟県と沖縄県に桃がつく名字が多いのですが、桃という単漢字の名字であっても不思議ではありません。しかし、おとぎ話の中で「桃から生まれた桃太郎」と伝えられているので、桃は名字ではなくて、名前ということになります。
となると桃太郎の名字は何かということですが、昔は農民には名字はなかったという話で済ませようかと思ったら、「日本一でしょ」と即断した子供がいました。そういう返答があるのも当然で、桃太郎や家来の猿が“日本一”と書かれた幟(のぼり)旗を持って歩いている姿が描かれています。
選挙運動のときに候補者の名前を書いた幟旗を持って練り歩くことを“桃太郎”と呼んでいます。これを目にしていると、日本一と名字を掲げていると考えることも理解はできます。幟旗に書かれた日本一は「にっぽんいち」ではなく「ひのもといち」と読みます。これは奈良時代に流行った言葉で、自分のところを自慢するのによく使われ、全国各地から都に税金代わりに集まってきた物産に「日本一の○○」と書かれて送られたのだということです。
日本一の活躍が鬼退治だったというのならわかるのですが、これから鬼の征伐に行くときに日本一と書くのは別の意味があるのかと考えても、なかなか結論が出ないところではあります。日本一というのは全国各地にあるもので、日本メディカルダイエット支援機構が地域活動を行っている岡山県の東側の和気町には日本一と掲げて紹介したいものがあります。鯉のぼりのシェア全国トップの徳永こいのぼりは鯉のぼりだけでなく子供の成長を願う幟旗も有名です。この徳永こいのぼりの近くに和気清麻呂が祭神の和気神社があり、敷地内の藤公園は藤の種類が日本一です。谷尾食糧工業のあんこもトップシェアです。まだまだあるのですが、そのことは別の機会に。