検査数値の「高め」は病気レベルのことなのか

「糖尿病ぎみ」という言葉を使う人のほとんどは、“ぎみ”どころか実は糖尿病の範囲にあるということが言われます。糖尿病であることを言ってしまうと、食事制限、運動をしないといけなくなるので、好きなものも食べられない、遊んでいる時間があるなら運動をしろと言われるので、認めたくないという気持ちで言わせているようです。糖尿病予備群という言葉も同じような感覚です。
糖尿病と糖尿病予備群の使い分けについては、国民健康・栄養調査の分類として示されています。これによると糖尿病は「糖尿病が強く疑われる者」で、糖尿病予備群は「糖尿病の可能性が否定できない者」とされています。可能性が否定できないということは、糖尿病の前段階の血糖値が高い人ではなく、もしかすると糖尿病かもしれない人ということで、安心していられる状態ではないということです。
「高め」という言葉も曖昧で、血圧が高め、血糖値が高めというのは、まだまだ大丈夫との印象を与える言葉ですが、糖尿病の範囲である空腹時血糖値が126mg/dl以上、食後血糖値が200mg/dl以上の人でも、平気で「高め」という言葉を口にします。
本来なら「高め」という言葉は、糖尿病域まで進んでしまった人が口にするべきことですが、どうしても自分をよく見せようとして発言する人が少なくありません。この高めという言葉は、健康教室で運動をする場で、少しハードなことをやってもらおうというときに、よく聞かれることです。言っている方は、そんな運動はしなくないので、自分は病気ではなくて、まだ高めの状態なので、そこまでしなくてもよいのではという気持ちがあって口を突いて出ています。
検査をしたときは、たまたま高めに数値が出る条件ということもあれば、逆に、たまたま低めに数値が出る条件であることもあります。たまたま高かったと考えるのではなくて、たまたま低かったのかもしれないと考えて、積極的に行動してほしいのですが、そうはできない人が多いのも事実です。