機能性食品は「気のせい」なのか

サプリメントでは“機能性”という言葉は、今では機能性表示食品に使われているので、科学的な証拠(エビデンス)こそが機能性と考えられています。しかし、機能性表示食品が登場するまでは、サプリメント全般が機能性食品というように捉えられていました。サプリメントという言葉は、補助、補充、補足といった意味があり、不足しているものを補うもの、つまり摂るべき栄養素が不足しているときには、その不足しているものを指しています。一般にはビタミンやミネラルのイメージで、抗酸化や免疫、血流促進といった機能性はイメージされていません。
しかし、今やサプリメントには、病気を治すとまではいかないものの、体調不良の原因にアプローチする機能が求められ、その結果を期待して使われています。
ところが、サプリメントが普通に機能性食品と呼ばれていた時代に、当時の厚生労働省の専門官から「機能性食品に“うの字”はいらない」と言われたことがあります。「“きのうせい”の“う”」を取ると、「きのせい」、つまり“気のせい食品”というわけで、効果があるように感じているのは気のせいだと揶揄されていたのです。
その専門官は、退職後には栄養関係の団体の役員となり、サプリメントの中でも機能性を表示することができる特定保健用食品の広報を行っていたときには驚いたものですが、サプリメントの近くにいて、その内容を知れば知るほど機能性が見えてきて、「気のせい」とは言えなくなってくるものです。というのは、サプリメント大国と呼ばれるアメリカを超えるほど日本はサプリメント研究が進んでいて、最高レベルにあるからです。
しかし、以前にも紹介したように、サプリメントは、どのような有効性があるのか表示することも述べることも法律で禁止されています。表示が許可されているのは特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品だけで、これならのものであっても有効性は一部の機能だけで、治る、効く、改善というような医薬品のような効能効果は禁止されているのです。