機能性食品は“気のせい”食品なのか

機能性食品は、特定保健用食品と機能性表示食品の登場によって、今ではすっかりと機能性が裏付けられている食品というイメージが定着してきました。しかし、いまだに「機能性の“う”の字はいらない」というようなことを言い続けている人がいます。この言葉を聞くと、日本メディカルダイエット支援機構の理事長が、同じ時期に耳にしたと話している「運動選手は脳まで筋肉質」という言葉も思い出します。発想に柔軟性がないことを自分たちで揶揄しているのでしょうが、柔軟性のなさという意味では“う”の字はいらないというのも同じようなものです。
機能性(きのうせい)食品から“う”を取り除いたら「きのせい」、つまり気のせいということを言いたいわけです。こんな揶揄を当法人の理事長が初めて聞いたのは、厚生労働省の栄養部署のお役人からで、その当時は機能性があるというような広告をして販売しているものを調べたところ、科学的根拠(エビデンス)がないままに言っているものも数多くあったのは事実です。裏付けが取れている成分は使われていたものの、その量があまりに少なくて、効果が得られないものでしかなかったということもありました。
現在の機能性表示食品は、製品で試験をしたか、製品に使われている素材の試験結果を示して表示ができるものであるので基本的には安心はしているのですが、初めのときから有効成分の量を減らしているということが絶対に起こらないのかというと、その心配がないではありません。販売会社、製造会社では量を変えることもなく、素材も変わっていないと信じていても、これまでの健康食品の例では、素材を輸出している会社が変えてきた、その会社も知らないうちに素材が変わっていたということもありました。
まがい物にしたということではなく、栽培地、収穫時期、使用部位、加工法などによって有効成分の量が変わり、量が同じであっても結果が違うということは起こり得る話です。販売会社が信頼をおけるだけでなく、そのようなことまでチェックできる会社かということにも着目して機能性食品を観察し続けたいものです。