歩数の限界を知ってからウォーキング

ウォーキングの基本は1日1万歩と長らくされてきました。長らく信じられてきた、と表現したほうがよいかもしれません。1万歩の裏付けについては、これまでも何度が紹介しています。簡単にまとめると戦後の高度経済成長の時代に運動不足、栄養過多から1日に300kcalほど栄養源の摂りすぎとなり、それを解消するための運動量が3000歩であることがわかり、その当時は1日に7000歩ほど歩いていたので、3000歩をプラスして1万歩が提唱されるようになりました。
歩数を記録する歩数計を万歩計と呼ぶのは、“万歩計”の商標がある会社の努力もあるのですが、1万歩を目指して歩く人が多かったからで、それなりに運動不足の解消にはつながりました。メタボリックシンドロームの改善のために体脂肪の減少効果があるウォーキングがすすめられると、1万歩を目指す人が増えたのですが、以前に運動をしていた人は、ついつい走りたがり、歩くにしても歩数を稼ぐことを頑張ってしまいがちです。しかし、健康を目的としたウォーキングで、頑張りすぎて身体を傷めるようなことになり、そのために必要な歩数も確保できないようなことになっては仕方がありません。
若いときには多少のタメージがあっても、じきに回復することができたとしても、年齢を重ねると回復に期間がかかり、へたをすると回復できないダメージを受けることにもなります。歩数計は1万歩を超えることもあり、5桁の表示ができることから99999歩まで記録されます。もちろん、高性能のものは6桁の表示が可能なものもあります。歩幅が70cmなら1万歩は7kmとなります。1日に50kmを歩くウォーキング大会もありますが、これだと7万歩も歩くことになります。それでも記録はされます。
高齢者を対象とした中之条研究(群馬県中之条町)では、1日に8000歩、そのうち20分間は中強度の早歩きをする人が最も健康度が高く、1万2000歩を越えると身体的ダメージが蓄積されることが発表されています。対象となった高齢者は65歳以上なので、まだ65歳を超えたばかりの人は1万歩でもよいのではないかと考えがちです。
そこで日本メディカルダイエット支援機構のメンバーは、どこまで歩いたら身体的にきつくなるのか、それを何日続けたら危ないのかを身体を張って検証しています。まだまだ検証途中ではあるのですが、2万歩はダメージが強すぎて、1万5000歩を3日続けるとダメージが回復しにくいことがわかり、できれば毎日の歩行は1万2000歩以下とすることをすすめるようにしています。