毎日できるがん細胞には免疫で対応

1兆に対して5000という数字は随分と少ないと感じます。この割合は何を示しているのかというと、「1日に体内の細胞の入れ代わりの数に対する、がん細胞の発生数」です。体内の細胞は約60兆個とされているので、毎日60分の1が新しくできて、その代わり60分の1の1兆個が壊されて入れ代わっているということになります。その1兆個に対して5000個のがん細胞というのは、人口に例えると2億人に1人ということになります。パーセントでいうと0.0000005%で、ほとんどないに等しい数です。
しかし、この0.0000005%が毎日起こると、これが増殖していって、足し算の結果ではなくて掛け算の結果となります。最終的には年間死亡率の27.9%ががん(平成29年調査)という状態になります。1兆個の中の5000個の発生があっても、免疫が正常に働いていれば、これを免疫細胞が攻撃して破壊して、無害化することも可能です。
毎日発生するがん細胞を免疫細胞が即座に処理をしていれば、がん細胞は増殖しないか、増殖したとしても身体に害をもたらすほど大きくはならずに済むはずです。せっかく身体に備わっている免疫が充分に働いていれば、つまり免疫細胞ががん細胞を攻撃して破壊してくれていれば問題は起こらないはずです。免疫は敵と味方を区別して、敵だけを攻撃する能力を指しています。この区別するレーダー役をするのは中枢神経ですが、自律神経の調整が乱れていると敵を発見する能力が低下して、攻撃力も低下していきます。
自律神経の調整を乱すものとしてはストレス、睡眠不足、睡眠時間の乱れなどがあげられますが、男性は脳の右脳と左脳をつなぐ脳梁が女性に比べて細いことからストレスが解消しにくくなっています。外敵と戦う抗体をつくる免疫細胞のB細胞の働きは女性ホルモンが向上させ、男性ホルモンが低下させるので、どうしても男性は免疫が全体的に低下しやすくなっています。この話をしたときには、「だから男性をいたわってください」という結びをすることにしています。