水を飲むと太るのかやせるのか

「水を飲んでも太る」ということを話す人がいます。太るのは飲食によるエネルギー量の摂りすぎか運動不足が原因ということになっているので、これに従うとエネルギー量がない水を飲んでも太ることはないはずです。しかし、実際には食事の量を減らして、運動もしているのにやせなくて、水を飲んだことによって太るという人はいます。
その理由は何かというと、一つに考えられるのは塩分の摂りすぎです。塩に含まれているナトリウムには水を吸着する作用があり、ナトリウムが増えると血液中の水分が多くなっていきます。普通ならナトリウムが多くなっても、腎臓で濾過されて過剰なナトリウムは排出されるので、血液中の水分は正常な状態に戻っていくはずです。ところが、腎臓の働きが悪いと、排泄が悪くなり、まずは血液中の水分が多くなって、これが体重にも見た目にも影響してきます。
体内のナトリウムが多くなると、細胞の中に取り込まれる水分も多くなります。「体重の60〜70%は水分」と言われますが、多くは細胞内の水分を指しています。細胞に取り込まれるナトリウムが多くなれば、その分だけ細胞内の水分が多くなり、これも太る原因になります。
また、むくみ(浮腫)も考えられます。水分は細胞内だけでなく、細胞の外側にもあります。この水分を使って、血管の末梢から細胞へと栄養や酸素を送り、細胞から排出された老廃物や二酸化炭素が血液中に入ります。老廃物は肝臓に運ばれて解毒され、二酸化炭素は肺に運ばれて呼吸とともに外へと排出されます。細胞外の水は、血管の収縮の圧力によって毛細血管に入っていきます。血管の収縮が弱いと水分が取り込まれにくくなり、体内に余分な水分が残ると同時に老廃物もたまっていくことになります。
下半身の血液は、心臓の圧力だけでは押し上げる力が足りないので、足の筋肉が収縮することによって、筋肉の中を通っている血管に圧力がかかり、心臓の圧力が補われて、血流が高まっていきます。筋肉を動かす機会が少ない人、つまり座っている時間が長い人は水分の排出が悪くなって、太ることになるわけです。