活性酸素を増やさないウォーキング

運動をすると、代謝産物として活性酸素が発生します。活性酸素というと全身の細胞を酸化させる悪玉的な存在と考えられがちですが、少量の場合には病原菌などの外敵を破壊することから免疫の一種と考えられています。ところが多く発生すると、外敵だけでなく、自分の細胞まで傷つけることになります。傷つけられたのが皮膚なら肌が荒れることになり、血管が傷ついたときには動脈硬化のリスクが高まります。内臓が傷ついたら、その内臓の機能が衰えていくことになります。
活性酸素というのは正常な酸素からマイナス電子が一つ失われたものです。通常の酸素はプラスとマイナスの電子が4個ずつバランスを取っていますが、細胞の中でエネルギーを作り出すときに、電子が欠けた活性酸素を発生させています。その量は、吸い込んだ酸素の2〜3%とされています。
運動をすると多くの酸素が使われて、活性酸素も多く発生するのですが、体内には活性酸素を消去する抗酸化酵素のSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)が備わっています。SODが働くときには酸素が必要で、適度な酸素が細胞で使われているときには、SODも盛んに働いて、余分に発生した活性酸素を消去してくれるので、それほど活性酸素が多くなることはありません。
どれくらいの運動量になると急に活性酸素の発生量が増えるのかというと、最大酸素摂取量の70%とされています。最大酸素摂取量は全力で身体を動かしたときに使われる酸素量のことで、例をあげるとすると全速力で疾走したときに吸い込む酸素の量となります。70%の量になる運動の強度ですが、一般にはダイエットレベルとされるもので、エクササイズやウォーキングなどの有酸素運動です。
走るレベルではなくて、脂肪燃焼効果の高い歩くレベルということで、時速7kmのスタスタと勢いよく歩くスピードとなります。これよりも早く歩いたほうが脂肪燃焼効率は高まるものの、活性酸素を増やすことになるので、元気に歩く程度にして、長く続けたほうがよいということです。