消化の補助機能とは何か

消化吸収という言葉があり、消化は胃、吸収は腸で、というのが普通に考えられていることです。実際には消化は小腸でも行われていて、胃からは糖質とたんぱく質の消化酵素は分泌されていますが、脂質は胃から分泌される酵素のリパーゼと十二指腸から分泌される胆汁とによって消化されるので、実際の脂質の消化は小腸で起こっているわけです。
消化を進めているのは原則的に胃だということになっていますが、消化酵素が作られているのは胃だけではありません。小腸で分泌される消化酵素は膵臓で作られています。膵臓は肝臓の下側にある細長い臓器で、内部にはランゲルハンス島と、これを取り囲むように腺房があります。ランゲルハンス島はホルモンを分泌する内分泌器官で、α細胞からは血糖値を上昇させるグルカゴンが、β細胞からは血糖値を下降させるインスリンが分泌されます。腺房からは消化器官に消化酵素が分泌されるため、外分泌腺と呼ばれています。つまり、膵臓は内分泌器官と外分泌器官の両方の役割があることになります。
肝臓は体重の50分の1もの大きさがある臓器で、栄養素の合成と貯蔵、解毒などの働きがあります。外分泌器官としては、胆汁を合成して十二指腸から分泌されています。胆汁には消化酵素は含まれないのですが、脂肪の消化に作用する胆汁酸が含まれています。この胆汁酸はコレステロールを材料として肝臓で作られているのです。
小腸から吸収された糖(ブドウ糖などの単糖)は肝臓でグリコーゲンに合成されます。脂肪酸は肝臓で中性脂肪に合成されます。中性脂肪は蓄積型の脂肪であるので、多く作られたときには脂肪細胞の中に蓄積されていきます。アミノ酸は肝臓でタンパク質に合成されます。合成後には、一部は肝臓内に貯蔵され、多くは血流に乗って、全身に運ばれていきます。
こういったことを見ると、身体の機能を保つのに、いかに肝臓が重要な働きをしているかがわかると思います。