消費者は会社の味方か敵か

商品を販売している会社にとって消費者は大事な存在で、敵か味方かという分類をしたら、間違いなく味方です。味方になれば、どんどんと味方を増やしてくれるもので、このことについてメディア関係者とのミーティングで話題にのぼったときに、「まるで善玉菌と日和見菌みたいだ」と話をさせてもらいました。善玉菌も日和見菌も腸内細菌のグループです。この他に悪玉菌があるというのは普通に知られたことです。日和見菌というのは、どっちつかずの日和見状態の腸内細菌で、善玉菌が増えて腸内が酸性傾向になると日和見菌は善玉菌の味方をして、腸内環境を整えていきます。逆に、悪玉菌が増えて腸内がアルカリ傾向になると悪玉菌の味方をします。
腸内細菌のバランスがよい状態の人は、善玉菌2、悪玉菌1、日和見菌7の割合となっています。強い方に迎合して変化するのが7割もいるとなると、善玉菌を増やす工夫をしないと大変なことになります。消費者の話も同じことで、迎合して動くような人が7割はいるのが普通のことです。
商品や販売方法、会社に苦情を寄せてくる人も普通にいるわけですが、これを敵と考えるなら味方は2倍以上ほしいところです。これも腸内細菌のよいバランスと同じ割合です。味方となる消費者を増やすために販売会社は、消費者にメリットを設けるように努力しています。それと同時に、悪玉菌を増やさないようにするのと同じで、何か突っ込まれるようなことが起こったときに、炎上しないように対策をしておくことは重要なことです。
もちろん、突っ込まれるようなトラブルや不祥事が起こらないようにすることは必要ですが、腸内細菌にたとえると本人は悪玉菌を増やすつもりではなくて、普通に肉や脂肪を摂っているだけなのに悪玉菌が増やす要因になっているのと同じです。つまり、当たり前のことが、いつトラブルを起こすことになるかわからないのが販売活動であるということです。
ということで、何か小さなトラブルがあったら、それに苦情を言って、攻めてくる人を避けようとするのではなく、よい勉強の機会、改善のきっかけをくれた方と考えて、味方にしていけるような考えで経営に当たるのが正しい判断だということが言えます。
悪玉菌を一気に減らせば、善玉菌だらけになるのかというと、どんなに健康な腸の人でも1割は悪玉菌がいます。悪玉菌は名前からすると悪いことしかないないような印象が持たれがちですが、胃では分解されなかったものを分解して大切な栄養素を吸収させるなどの働きがあります。社員の場合には働きが悪い社員をクビにしても、それまで普通に働いていた社員が怠け者になるということが起こります。
消費者も苦情を寄せてくる人をシャットアウトすると、これまで苦情までは言わなかった人が急にクレーマーになることもよくあることです。せっかくの味方の消費者になる日和見の人がクレーマーに変身しないように、今の敵を増殖させないようにしつつも、適度な数に保つようにすることを考えてもよいのかと思っています。