炭酸水は太るのかやせるのか

ダイエットのために食べていたのに、飲んでいたのに、かえって太ったという話は、この業界ではよく耳にすることです。スポーツ飲料は脂肪燃焼のためのエネルギー補給になるという話があって、ある程度の糖分を摂ってから運動をすると、この糖分(ブドウ糖)が運動時の代謝を高め、その後に脂肪の代謝が続くので、ダイエット効果があるのは確かです。
しかし、スポーツ飲料という名前が示すように、運動をするときに飲むものであって、何もしないときに飲むとエネルギーの摂りすぎになります。というのは、スポーツ飲料にはブドウ糖が多く含まれていて、これが身体を激しく動かしたときには優れたエネルギー源となってくれるのですが、運動をしないと、そのエネルギー源が余分なものとして肝臓で脂肪に合成されることになります。
寝る前の風呂上がりの後にスポーツ飲料を飲むと喉の渇きが解消されて、汗として出た水分も補給されるので心地よいものです。しかし、寝る前ということは身体を動かす機会がほとんどないので、エネルギー源の摂りすぎになります。ブドウ糖で血糖値が上昇して、インスリンが分泌されます。インスリンには肝臓での脂肪合成を進める作用があり、合成の材料になるブドウ糖をたっぷりと飲んでいるので、太るための条件が揃っています。そもそも寝る前の時間帯は自律神経の副交感神経の働きが盛んになっていて、インスリンの分泌は副交感神経によって促進するので、太りたい人にとっては好条件が整いすぎていることになります。
アミノ酸飲料も同じようなことがあって、脂肪を分解して代謝を進めるアミノ酸のBCAAが含まれた飲料を飲んでから運動をすると筋肉の中で脂肪の分解が進み、筋肉の中の必須アミノ酸も約35%はBCAAであるので筋肉を増やす効果もあります。BCAA(branched-chain amino acid)は分岐鎖アミノ酸のことで、必須アミノ酸のバリン、ロイシン、イソロイシンの3種類です。
このBCAAだけが含まれていればよいのですが、飲みやすくするために糖分が含まれています。この糖分はスポーツ飲料での役割と同じで必要なものですが、これが運動をしない人の場合には必要どころか不必要と言っていいくらいのもので、太りたい人にはもってこいのものです。
前置きが長くなりましたが、炭酸水も同じようなことが起こります。炭酸水は炭酸ガスを含んでいる飲料で、炭酸ガスが胃を膨らませて食べる量を減らす効果があります。炭酸ガスは二酸化炭素で、胃腸から吸収されて血液中に入ると血管が拡張して血流が盛んになります。というのも二酸化炭素は全身の細胞が代謝によって発生させるもので、早く肺に送って排出すべきものです。その二酸化炭素が血液中に増えたことから血流が促進されるわけですが、これによって全身に運ばれる酸素と栄養が増えて、身体も温まるようになります。これはダイエットにはプラスの効果です。
この効果が得られるのは甘くない炭酸水の話で、甘くて飲みやすい炭酸水は糖分が含まれています。甘い炭酸水を飲んで運動をしなければ、やはり太る原因となります。メディアが炭酸水の効果を打ち出した番組や記事を作るときには、この点の注意喚起をしてもらいたいものです。