熱いお湯と熱めのお湯の認識ギャップ

入浴について語るときに、お湯の温度を“熱い”とは表現しないようにしています。今どきの給湯装置は温度調整が正確なので、熱くなりすぎることはなくて、快適な温度、効果的な温度を保つことができます。効果的な温度というのは、リラックス効果と体脂肪の代謝のことを指しています。リラックス効果は自律神経の副交感神経の働きを盛んにして、心身ともに安定させることで、その温度は温浴でもシャワーでも38〜40℃となっています。この温度では心身ともにリラックスできるのですが、代謝の促進ということでは、あまり効果はありません。
ここでいう代謝は体脂肪を燃焼させることで、42℃以上の温度になると自律神経の交感神経の働きが盛んになって、温浴をしているだけで体脂肪の分解が進み、筋肉細胞の中で脂肪酸をエネルギーとして代謝させることが、より盛んになっていきます。42℃以上の温度で、長く温浴することがダイエットのためには効果があるということです。
この話を記載するときにもメディアに伝えるときにも、温度の情報を伝えるとともに、間違いがないように「熱めのお湯」という言葉を使っています。特にメディアには「熱いお湯というと熱湯と勘違いすることもあるから」と付け加えています。それなのに番組や記事で“熱いお湯”という言葉が使われ、温度の表示もないことがあります。これは気になって仕方がありません。
日本人は感覚的に捉える力が優れているので、入浴で熱いといえば42℃まで、コーヒーといえば90℃、お茶といえば80℃ということは特に何も指示をしなくても調整ができます。しかし、これは熱いではなくて“熱め”で、100℃の温度を飲料の温度にしようとは思わないはずです。これは常識がある人の話で、しかも国内では通じても、海外の人に伝えようとすると、うまくいかないこともあります。常識の有無は別として、おもてなしの時代には具体的な温度を伝えるか、使い間違いがない英語のような表現が必要かもしれません。