特異な行動は発達障害の特徴なのか

発達障害の自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害について、特徴的な行動や反応を調べて、日本メディカルダイエット 支援機構ではマニュアル化を進めています。発達障害は早期発見に努め、早期発見によって早期支援に努めることが重要で、それは発達障害者支援法にも地方公共団体の責務として明記されています。早期発見のためには、チェック表から該当する行動などを知ることが大切で、そのために特徴的な行動と、神経過敏・神経鈍麻といった反応を調べて、できるだけ多くのチェック項目を増やすために研究者や発達障害児の母親などとの面談を重ねています。
多くの事例は医学書や専門書から抜き出すことができるのですが、こういったものに載っていないことが事例として出てくると、医学的なものというよりも別の世界での解明が必要ではないかと感じさせられることがあります。その例としてあげられるのは、壁に後頭部を打ち付ける行為です。発達障害児だけに特徴的にみられることではないのに、発達障害児の特徴として紹介されている書籍もあります。しかし、これは発達障害の特徴というよりも、親や周辺の人に注目してほしい、かまってほしいという気持ちから出た行為とみられています。
ただ、社会との関わりが上手にできず、言葉や表情では伝えることができずに、極端な態度で示してしまった結果であり、発達障害でも自閉症スペクトラム障害では起こりやすいといえます。
壁に後頭部を打ち付けるほかに、机を拳で叩き続ける、机に額をぶつける、唸り声や奇声をあげるということがみられますが、こういったことをすることで母親が気になって優しくしてくれた、かまってくれたという体験から、周囲との交流ができずに寂しい思いをしたときに、過去の成功体験を繰り返して打開しようとしているということです。
発達障害によって過剰に反応することはあっても、そのきっかけは感情的なもの、精神的なものということで、親子関係にも問題があると考えられています。発達障害児のケアについて語っている人の中には、親子関係をスムーズにすることによって発達障害を解決できると主張して、これを書籍や講演で発表していることもあります。確かに、親子関係の改善で過剰な反応がなくなることはあるものの、それで脳の発達のズレがなくなるのなら私たちの苦労は必要ないものです。