玄米は健康づくりによいのか

高齢者になると運動をしても筋肉がつきにくくなります。運動をしている割には脂肪がついてしまうという人もいますが、高齢者の特徴というと筋肉が増えにくいどころか、筋肉が減っていくようになります。筋肉が減るというと筋肉細胞の数が減っていくわけではなくて、筋肉細胞の量が減っていきます。筋肉細胞が減っていくと思っている人が案外と多いのは、筋肉細胞は筋繊維とも呼ばれていて、「筋繊維が減っていく」というような説明をしている会社(フィットネスクラブやサプリメント会社など)があるからです。
繊維が減っていくというと、繊維が1本ずつ離れていって細くなる印象が持たれがちですが、筋肉細胞は繊維状になっていることから筋繊維と呼ばれているので、細胞であることに代わりはありません。運動をすると筋肉の細胞が太くなっていくので、細胞に必要なタンパク質を摂取して、運動をすれば筋肉を太くすることができるということです。
なぜ、このような話をしたのかというと、年齢を重ねていくと運動をしても筋繊維が細くなっていくと嘆いている人がいたからで、その人が健康づくりのために何を食べているのかを聞いたところ、若いときから健康のために食べてきた玄米とのことでした。確かに玄米には白米にするときに取り除かれる籾殻にビタミン、ミネラル、ポリフェノール、それに食物繊維が豊富に含まれているので、健康に役立つ食品というイメージがあります。
消化・吸収がよい若いときには玄米を食べても充分に消化させて、栄養成分を吸収させることができます。ところが、年齢を重ねて消化力が低下すると、せっかくの栄養成分が吸収されにくくなります。食物繊維が多いと、そのために消化液が使われて、肝心の肉や魚、大豆製品などに含まれているたんぱく質の消化も遅れるようになって、たんぱく質が分解されたアミノ酸の吸収も低下するようになります。できることなら消化がよいものを食べるようにしたいのに、これまでは健康によいということで続けていることが、逆効果にもなりかねないということです。