甘いものを食べるだけで脳は活性化するのか

頭を使うとき、疲れてきて頭の周りがよくないときに甘いものを食べると、頭の回転がよくなっていきます。これは脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が補われたからだ、というのが一般にされる説明です。全身のほとんどの細胞は(つまり脳細胞以外の細胞は)ブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸をエネルギー源として使っています。しかし、脳細胞はブドウ糖しか取り込むことができないので、ブドウ糖不足は脳で作り出されるエネルギーの発生量を低くしてしまいます。それだけでなくて、脳の認知機能を低下させることにもなると言われています。
これに従うと、ブドウ糖を補っていれば、脳の働きがよくなるということになりそうですが、脳細胞に取り込まれるブドウ糖が増えれば、それだけでエネルギーが多く発生するわけではありません。脳細胞に取り込まれたブドウ糖は細胞内のミトコンドリアの中で酸素を用いることによって、エネルギー代謝によってエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が発生します。酸素を多く取り込まないとブドウ糖が多くあってもエネルギー産生が起こりにくくなります。酸素を取り込むための方法はいくつもありますが、深呼吸程度では足りなくて、有酸素運動のウォーキングなどを行わないことには脳細胞内でのエネルギーが増えにくくなります。
むしろブドウ糖を増やすよりも、有酸素運動のほうが効果があることさえあるのですが、一番よいのは脳細胞にブドウ糖を多く取り込んでから有酸素運動をすることです。甘いものを食べれば、それで脳細胞に取り込まれるわけではありません。では、どうやって脳細胞に取り込まれるブドウ糖を増やすかということですが、最もよいのは細胞にブドウ糖を取り込む作用がある代謝促進物質のα‐リポ酸を補うことです。α‐リポ酸は体内で合成されるものの、20歳をピークに減り続けるので、脳の回りがよくないことを感じたときにはα‐リポ酸を補う必要があるタイミングといえます。
α‐リポ酸には体内で合成されて体内で使われる天然型のR‐αリポ酸と、非天然型のS‐αリポ酸があります。R‐αリポ酸については、このサイトの「サプリメント事典」のα‐リポ酸を参照してください。