生活習慣病と成人病の認識ギャップ

生活習慣病という呼び名は、それ以前に使われていた成人病の高血圧、糖尿病、高中性脂肪血症などが成人に達する前にも増えてきたことから名づけられた……と、あちらこちらに書かれています。簡単に表現しないといけない機会には、私たちも同じことを口にしたり、文字にすることもあります。これは正しいことなのかというと、正しいとも間違っているとも言いにくいところがあります。というのは、成人のほうが罹患率は高く、生命に影響を与えるようなリスクは加齢によって高まっていくからです。そして、病気の最大のリスクは年齢ということを知ってほしいからです。
生活習慣病という言葉が徐々に使われてきたのは1990年代になってからですが、1997年に厚生労働省が正式に使ってから、成人病は急速に使われなくなりました。生活習慣病について検索すると、100歳を超えても現役医師だった日野原重明先生が命名者と書かれた文章が出てきます。このことは100歳のインタビューで、日本メディカルダイエット支援機構の理事長も本人から聞いています。もう一方で、当法人の理事長は、当時の厚生省(現在は厚生労働省)の健康局長から命名者であることを聞いています。名称を変えることに、どれだけ苦労したか、定着させるために大変な思いをしたということも聞いています。
この話は余談として、なぜ年齢が最大のリスクかというと、加齢によって発症率が高まり、治療に期間がかかり、治りにくくなっていくことは明らかだからです。また、一生涯に個人が使う生涯医療費の調査統計を見ると、2700万円のうち半分は70歳以降で使われています。これは個人負担分ではなく、国や自治体、保険組合などが支払うすべての医療費が含まれています。男性の平均寿命は80歳を少しだけ超えただけで、10年間のうちに半分の医療費が使われています。平均寿命から、自由に活動できる健康寿命を差し引くと男性は10年弱、女性は12年強となっています。寝たきりにならないまでも活動範囲は家の周りだけというような状態で、医療費ばかりがかかるというのでは長寿社会だと喜んでいるわけではいきません。
70歳のときの医療費の曲線を少しでも下げられれば、医療費負担が下がるだけでなく、自由に動ける期間も延ばせるはずです。そのためには50代から生活習慣病にならないための対策に取り組むことが大切です。個人の対策では不十分で、自治体や地域をあげての取り組みがなければ実現は不可能と考えます。だから、あえて成人病という認識を強くして、私たちのメディカルダイエットの手法を役立ててほしいと関係先に訴え続けているのです。