生活習慣病と老化予防の関わり

健康寿命に大きな影響を与えているのは生活習慣病です。生活習慣病は、その名のとおり食生活、運動習慣などの生活習慣が要因になっていると言われています。しかし、それ以上に大きな要因となっているのは加齢です。若いときには対応力が高く、血圧や血糖値、中性脂肪値、LDLコレステロール値といったメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に影響する数値が高まっても、これを抑制する調整能力が働きやすいために高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの症状が出にくく、その先にある動脈硬化、虚血性心疾患、脳血管疾患、そして疾患によって発症する合併症にも進みにくくなっています。
この対応力は年齢を重ねるにつれて低下する一方となり、これまでと同じ生活習慣を継続していても健康を維持することができにくくなり、検査数値に異常が出やすくなります。また、検査数値に異常があっても疾患まで進みにくい状態であった人が、年齢を重ねることによって疾病のリスクが高まっていきます。これまでと同じように食生活に注意をしていても、また軽度の治療薬を使っていても検査数値が安定しなくなっていきます。
このような加齢による老化に対しては、食事や運動、休養などのアンチエイジング(抗加齢)の対策が考えられ、これらを実施することによって老化の進行を遅らせ、できるだけ健康で若々しく暮らしていける期間を伸ばすことが推奨されています。
これらの対策は老年医学の研究に基づいたもので、それぞれの対象者の状態に対して的確なアプローチがなされれば、老化を抑制し、数年前よりも元気に生活をすることも可能となっています。そのメリットを実感してもらうためには、均一的なアプローチではなく、個別対応をするための対象者の状態の把握が重要となります。その把握のために活用されるのは検査数値だけではなく、筋力や活力の衰えの程度を知ることから始まります。