生活習慣病を予防・改善する歩き方

生活習慣病の高血圧、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)などは、歩くことによって血液中のブドウ糖や中性脂肪を減らすことによって予防と改善の結果が得られると言われます。そう言っているのはウォーキングを健康づくりにすすめる人だけでなく、医師や保健師など医学に関わる専門家も同じ認識で発言しています。ところが、実際に歩いてみても、なかなか検査数値が改善させるところまでいかないと悩んでいる人は少なくありません。
このことを専門家にぶつけると「歩く距離が足りない」と簡単な一言で片付けられることがあるのですが、長く歩けばよい、歩く時間を長くすれば、それだけで検査数値が改善できるほど身体のメカニズムは簡単なものではありません。エネルギー源のブドウ糖と脂肪酸は細胞内に取り込まれて、細胞のミトコンドリアの中でエネルギー代謝が行われます。エネルギー代謝が全身の細胞で行われているものの、ミトコンドリアの数が多い筋肉細胞で最も多くのエネルギーが作り出されています。筋肉を増やすほどのウォーキングなら生活習慣病を予防・改善する効果があるわけです。
しかし、どんなに長く歩いても、筋肉の量は思ったほど増えてはくれません。全身の筋肉のうち70%ほどは下半身にあるので、歩いても筋肉が増えそうな印象が持たれがちですが、筋肉には種類があって、有酸素運動のウォーキングでは筋肉が太くなるほど増えることはありません。筋肉は瞬発力を高める白筋と持久力を高める赤筋があります。歩いて増えるのは赤筋で、白筋が増えないと筋肉は増えてくれません。
ところが、速歩をすると筋肉は酸素不足になり、無酸素運動と同様な状態になって、無酸素運動で活躍する白筋が増えていくようになります。無酸素運動の速歩は、なんとか会話ができる程度の速度でのウォーキングなので、長く続けることは不可能です。そこで、速歩を3分間したら、ゆっくりとしたスピードの普通歩行を3分間というインターバルのウォーキングをします。これを5〜10回、続けることによって、期間はかかるものの、筋肉を増やして、ブドウ糖と脂肪酸が燃焼しやすい身体にしていくことができます。