男性の平均寿命トップは横浜市

平成27年市区町村別生命表の概況が厚生労働省から発表されました。これは死亡状況を市区町村単位で比較するために5年ごとに発表されているデータで、都道府県別の平均寿命を市区町村レベルで検証した結果です。平均寿命というと、いまだに今の人たちが何歳まで生きられるかを示していると思っている人も少なくないのですが、実際には、その人に生まれた0歳児が現在の環境が継続した場合に何歳まで生きられるかの推定値です。つまり、平均寿命が80歳だとして、今は50歳だから、あと30年生きられる、という意味ではないということです。
市区町村の平均的なところでは、男性では80.5歳以上81.0歳未満に、女性では86.5歳以上87.0歳未満に最も多く分布しています。男性のトップは神奈川県横浜市青葉区で83.3歳、ついで神奈川県川崎市麻生区の83.1歳、東京都世田谷区の82.8歳となっています。女性では沖縄県中頭郡北中城村の89.0歳、次いで沖縄県中頭郡中城村の88.8歳、沖縄県名護市の88.8歳となっています。沖縄県の中間部に集中しています。
これに対して最も低かったのは、男性では大阪府大阪市西成区が73.5歳ですが、女性も大阪府大阪市西成区で84.4歳と同じ地域が最下位という結果になっています。この結果から、最も高い市区町村と最も低い市区町村の差は、男性は9.8歳、女性は4.6歳と、男性はかなりの開きになっています。
この結果が発表されて、さっそくテレビ局のディレクターからも雑誌の編集者からも問い合わせがありました。想像していた問い合わせの内容は「どうして男性は平均寿命がトップの滋賀県、2位の長野県でないのか」ということでしたが、実際の問い合わせは両者とも「なぜ最下位が大阪だったのか」ということでした。
市区町村の平均寿命では滋賀県草津市が5位、長野県大町市が8位となっています。都道府県別ランクングでは大阪府は38位で、大阪府は長生き地域ではないのですが、特にひどい状況ということでもありません。市区町村別データでも6位に大阪府吹田市、7位に大阪府箕面市がランキングされています。要は、大阪府は長生き地域がある一方で、短命地域も混在していて、全体的にランクを下げているということになります。
市区町村別の下位ランキングでは2位が大阪府大阪市浪速区、10位が大阪府大阪市大正区となっています。西成区、浪速区、大正区は大阪市の中央部より南側の隣接区です。中小企業が多く、健康診断を受ける人が少ないことが以前から指摘されてきました。
収入が多い地域は健康度が高い傾向があり、それが市区町村別の平均寿命を延ばしています。収入が低い地域ということなら沖縄県のほうが大阪府よりも下回っているのですが、健康診断を受ける機会がない人が増えるほど、身体の変化の発見が遅くなり、それが平均寿命の決定にも影響を与えているということが言えるわけです。