発達栄養学50 牛乳が苦手な子どもの対応法1

牛乳が苦手で飲めない子どもに対しては、通常は冷たいものに抵抗があるなら温めて、熱いものに抵抗があるなら冷やしたままか常温で飲ませるようにするところから始めます。これで効果が得られなかったら、味覚に問題があると考えて、子どもが好きなココア味やイチゴ味にする、牛乳と他の飲み物で牛乳の味を弱める、といったことが指導されます。
ところが、発達障害では特有のこだわりがあり、さらに自閉症スペクトラム障害の子どもでは感覚過敏から極端な偏食が起こりやすく、さまざまな特性に合わせた対処法が必要になります。無理に牛乳を飲ませるようなことをすると、飲ませた人に対する抵抗感が強まり、それ以降は飲めなくなってしまうということが感覚過敏では起こりやすくなっているのです。
白い色の飲み物を嫌がる子どもに対しては、容器などの工夫が考えられます。中身の色が見えない容器に移し替えて、色のついたストローで飲ませるというように色が気にならないようにさせる方法です。牛乳にココアやイチゴなどの色がついたものを入れて、白い色を変えるという方法がありますが、味わいが違うことで飲めなくなったという子どももいます。そこで、食用の色素を使って、味を変えずに色だけを変えるという方法が使われます。そして、慣れてきたら、徐々に食用色素を減らして、だんだんと白い色でも飲めるようにしていくようにします。
コップに注いだ牛乳は飲めても、給食で出される紙パック入りの牛乳は飲めないという子どももいます。これは牛乳に抵抗があるのではなくて、紙パックから飲むことに抵抗があったり、いつも飲んでいる牛乳と違っていることで慣れないからといって飲めないという場合もあります。紙パックからコップに移して飲むことで改善される例が多くなっています。
牛乳パックには牛がイラストなどで描かれていることもありますが、これが牛が大きくて怖い、臭くて嫌だと感じている子どもには強い抵抗感を生むことになり、このことも紙パックからコップに移すことによって弱めることができます。