発達栄養学54 100kcal栄養学の基本

80kcalを1単位とする栄養学は戦後の緊急措置で始まりましたが、今では一食の食品ごとの摂取エネルギー量は100kcal前後となり、単位では1.2ほどとなっています。単位にすると、かえってわかりにくく、そもそも100という十進法であれば他に換算する単位を持ち出すこともなく、簡単に計算することができます。
健康的な食生活の指標として出されている摂取エネルギー量の1600kcalを例にすると、一般には糖質の割合は50%とされるので、800kcalを主食から摂るようにします。ご飯の量は茶碗1杯分(普通盛り)が200kcalなので、1日にご飯なら4杯分となります。パンは5枚切りが1枚で200kcalとなります。5枚切りは西日本が主流で、東日本では6枚切りが基本なので、6枚切り1枚は160kcalくらいになります。麺類は1玉が300kcalであるので、麺類は案外とエネルギー量が多いことがわかります。
健康のための食事は「腹八分目」という言葉で表されるように、治療食であれば80kcalを単位として減らすようにしてもよいでしょうが、成長期の子どもの適切な栄養摂取ということでは100kcalのほうがわかりやすく、食品選びも簡単で、実施しやすくなります。
活動や運動による消費エネルギー量は100kcal単位で示されるので、飲食による摂取エネルギー量も100kcalであれば、活動量に合わせて摂取量をコントロールすることも理解しやすくなります。
おかずでは、100kcalは肉も魚も1切れの量になり、卵は1個、牛乳はコップ1杯、りんごは1個というように、食品選びも100kcalの単位で選びやすくなっています。100kcal単位なら、摂取エネルギー量をプラスするのもマイナスするのも簡単で、料理を作る保護者がわかりやすいのが発達栄養の支援の第一といえます。