発達栄養学55 100kcalと連動する栄養バランス

自分で栄養計算が簡単にできる100kcal単位の栄養学のアドバイスをする前に、バランスのよい食事について紹介させてもらいます。“バランスのよい食事”という言葉は普段から使われていますが、どんな栄養素をバランスよく摂ればよいのかということまでは充分に理解されていないようです。ここでいうバランスのよい食事は、たんぱく質、脂質、糖質(炭水化物)が、それぞれ理想的な摂取割合になっていることを指しています。多くの方が気にしているビタミンやミネラルなどの栄養素のバランスではないのです。
エネルギーを構成する三大栄養素(エネルギー源)のバランスはPFCバランスと呼ばれます。P(たんぱく質:protein)F(脂質:fat)、C(糖質:carbohydrate)の成人の理想的なバランスは、たんぱく質が13〜20%、脂質が20〜30%、糖質が50〜65%の割合となっています。この数値は「日本人の食事摂取基準」(2020年版)に掲載されています。
以前の基準では、脂質は20〜25%でしたが、上限が増えたのは単純に脂質を増やしてよいということではなくて、飽和脂肪酸を7%以下にするという条件が加わったからです。植物油や魚に多い不飽和脂肪酸を増やし、肉類などに多い飽和脂肪酸を減らすことを示しています。
子どもの場合には、飽和脂肪酸を14歳以下では10%以下、15〜17歳は8%以下とされていますが、これ以外のPFCバランスは成人と変わりがありません。
エネルギーの単位はkcal(キロカロリー)であり、食品のエネルギー量の合計は三大栄養素を摂取した合計ともなっています。しかし、食品の摂取割合は重量(g)で表されることが多く、重量からはエネルギー量は把握しにくいところがあります。たんぱく質は1gが約4kcalに相当します。脂質は1gが約9kcal、糖質は1gが約4kcalとなっています。
このため、わかりやすくするために、三大栄養素をエネルギー量(kcal)に換算して、3種類の比率をパーセントにしたものがPFCバランスとなります。エネルギー量から1日の理想的な栄養バランスを食品に分類すると、1日に摂取するべきエネルギー量のうち50%が主食、25%が主菜、25%が副菜となります。