発達栄養学68 “頭を使うと腹が減る”メカニズム

子どもの成長には甘いものが必要です。糖質に含まれるブドウ糖は、すぐにエネルギーを作り出す重要なエネルギー源で、脳細胞の唯一のエネルギー源でもあるので、脳の発達と健全な反応のために欠かすことはできません。ブドウ糖なしには生きていくことができないことから、血液中のブドウ糖濃度を指す血糖値が低下すると空腹感を感じて、食事をしたくなり、糖質に含まれるブドウ糖の摂取が始まります。
脳の視床下部にある中枢神経には満腹中枢と摂食中枢があり、血糖値が高い状態になると満腹中枢が刺激されて、満腹感を感じて、これ以上は食べないように食欲が抑制されます。それに対して、血糖値が下がるとブドウ糖の不足を摂食中枢が感じて、その反応として食欲が高まります。
脳を正常に働かせるために血糖値が下がったときに食欲を高めて、多くのブドウ糖を摂取することで脳細胞の唯一のエネルギー源を補うことになりますが、この反応によって全身を働かせるために必要なブドウ糖を多く取り入れることになります。
脳の重量は全体重の2%程度でしかありませんが、脳で消費されるエネルギー量は通常でも20%に及んでいます。脳に負担がかかる状態では、さらに増えて、発育のために多くのエネルギー源が必要な子どもが脳を積極的に使う状態では25%にも達します。
そのすべてがブドウ糖なので、半分近くのブドウ糖が脳で使われていると考えることができます。考えるという行為は脳でブドウ糖を多く消費することなので、脳を使うほど摂食中枢が刺激されて、“頭を使うと腹が減る”ということになります。
腹が減った状態では食事をするのが一番の方法ですが、食事をするまでもないというときには、甘いもので済ませることがあります。甘いものには砂糖が使われています。砂糖はブドウ糖1分子と果糖1分子で構成されていて、食品の中では最もブドウ糖の割合が高くなっています。ブドウ糖が不足すると脳が正常に働くことができなくなるということがわかれば、頭を使うときには甘いものを食べるようにするということになります。もちろん、脳の働きを正常に保つことができる量でよいので、頭を使うから多くの量を食べるという言い訳をしないことは当然のことです。