発達障害とスリム型肥満の関係

発達障害の児童に対するケアを考えるとき、メディカルダイエット研究のきっかけになった“スリム型肥満”のことを思い出します。スリム型肥満は少女に多くみられ、見た目はスリムなのですが、体脂肪を測定すると肥満となっています。これは筋肉量が少なくて、体脂肪が多くても華奢な身体で、もちろん体重も軽くなっています。脂肪と筋肉の容量の差は20%、つまり同じ重量だと筋肉1に対して脂肪は0.8の割合となっています。この差が見た目と体重に影響しているわけです。
スリム型肥満の少女の体脂肪率を減らすことは、通常の手段の食事療法も運動療法も通じにくくなっています。成長期の子供の肥満を改善するのは大変なことです。そこで国立病院の医師と栄養士の協力を得て編み出したのが運動と食事のタイミングによって体脂肪をコントロールする方法で、“無理なく無駄なく”という日本メディカルダイエット支援機構のモットーが生まれるきっかけともなっています。
このスリム型肥満の改善には、基本的なエネルギー摂取と栄養素のバランスという食事療法は必要ですが、子供たちが好きなものをメニューに入れて、無理なく無駄なく食べられるように工夫をしても食べてくれない子供たちがいました。その割合は5%ほどでしたが、感覚過敏があって料理をして提供した側が驚くような反応をしました。子供が好きな食べ物とされる「オカアサンハヤスメ」のオムライス、カレーライス、アイスクリーム、サンドイッチ、ハンバーグ、ヤキソバ、スパゲッティー、メダマヤキ(目玉焼き)が苦手どころか食べられないというのです。すべてではなく、各人によって食べられないものがあります。
その理由は、味が混ざって気持ちが悪い、熱いものは食べられない、冷たいものは食べられない、刺激があって食べられない、濃い味は食べられない、というものです。この他の食品では、揚げ物は衣がチクチクするので衣が食べられない、コロッケの中身はヌメヌメして食べられない、キノコはプラスチックみたいな舌触りで食べられないなどなど、初めは食べにくくても食べているうちに徐々に食べられるようになる、という普通の食事の発達ができないということです。
こういったことがあると、偏食となって栄養不足となりやすい子供が、もっと偏食になるので、発達障害のスリム型肥満は画一的な栄養指導では難しく、緻密な対応が必要になってきます。