発達障害にはリモート会議はプラスになるか

リモート会議は疲れるという人が少なくありません。対面しての会議でもリモート会議でも話し合われる中身はあまり変わらず、会議の進行も大きくは変わっていないはずです。リモート会議だからといって、参加している人の役割や責任が変わることもありません。参加している人に、ずっと見られているという緊張感はあっても、みんなの顔が並んでいる画面のおかげで、それぞれの人の表情や発言内容を注視することもできるようになります。
このような全体を見ることができる会議システムは、発達障害の人には有利とされます。発達障害では社会性に欠けるところがあり、周囲との調和が取りにくいところがあります。1人と対峙しているときには、その人にだけ集中すればよいのでコミュニケーションが取りやすくても、集中しなければならない対象が2人、3人と増えていくと、1人ずつへの集中力が低下するだけでなくて、全体的な集中力が低下するようになります。
発言をしている人に集中しようとすると、他の人に集中ができなくなり、横から会話に加わった人が話したことが音としては聞こえているのに、その内容が頭に入ってこないということが起こります。その会話に加わってくる人が増えると、だんだんと聞き取ることが難しくなっていって、白熱した議論が発達障害の人には騒音に感じる、それも超攻撃的な騒音にも聞こえてしまい、そこから逃げ出したくなります。逃げ出したいと思っても、会社の会議室の中でのこととなると、実際に逃げることはできなくて、その場にいるだけでも苦痛が高まっていきます。
ところが、リモート会議だと、会議の画面から外れることはしにくいといっても、自分のテリトリーから参加しているので、緊張感がまるで違います。集中するほど周囲が見えなくなっていくことが発達障害にはみられがちですが、画面に参加者の顔が出ていて、表情も見ることができるという状況だと、集中力が途切れてきても全体像を見て、参加を続けることができるようになります。
発達障害の人にとっては、リモート会議はありがたい存在で、もしも新型コロナウイルスが完全に終息した段階でも継続してほしいコミュニケーションの場ということができます。