発達障害の注意欠如・多動性障害は脳も多動している

発達障害の注意欠如・多動性障害は、じっとしていられない性質で、頭では動いてはいけないとわかっていても、それとは関係なく身体が動いてしまう状態だと理解されがちです。しかし、脳の働き自体も多動的で、優れた才能を発揮する人には脳の多動性が能力につながっています。
身体を激しく動かしていても頭が疲れない、どんどんとアイデアが出てくる、他人を驚かせるような発想が出てくるといったことが起こっています。発想の宝庫ではあるものの、それを整理することができないほど発想が次々と湧き上がってくるので、それに対応できないということも起こっています。脳の働きを抑えようとしても、働き続けてしまっていると、落ち着いて考えることができなくなって、脳が多動状態になって身体も多動になってしまうということです。
脳は複数のことをこなすことができます。この能力があるので、目で見て、耳で聞いて判断したことから身体を動かすということができます。自動車を運転できるのも、ブレーキをかけて安全を確保できるのも複数のことがこなせる能力が普通にあるからです。ところが、脳が多動性になっていると余裕がなくなって、複数のことがこなせなくなり、一つのことしかできないということになります。
注意欠如・多動性障害では、我慢することと行動の結果を出すことが同時にできないということが特徴的に起こります。椅子に座って、じっと話を聞くことと、話の内容を理解して結果を出すということが合致しないと、最後まで話を聞いていなくても、結果が一致していればよいという判断にもなり、話の意味がわかったところで、次の行動に移るということにもなります。
そこまで複雑なことでなくても、姿勢を正して座っているということと、話を聞くという行動が合致していないと、話を聞くことのほうが重要であるので、別にきちんと座っている必要がない、みんなが同じ行動をすることはない、という判断にもつながっていきます。
何を優先させるべきなのかがわかり、優先してできることが重要であるという社会にならないと、こういった能力はマイナスになってしまいます。これをプラスに変えるために社会体制を変えることは難しいことから、一般的な規制に縛られない仕事ができる環境を作ること、一人でもできる仕事を考えるということも考えていくべきだということではないでしょうか。