発達障害の男性が28%もいたら社会システムは成り立つのか

発達障害児は文部科学省の調査では約6.5%とされていますが、実際には10%を超えていると推定されています。子どもの発達障害特有の行動にきづかない親がいたり、気づいていても社会的な受け入れや差別を恐れて医師にみせないという例もあるからですが、発達障害者支援法に明記されている地方公共団体の責務である早期発見が不十分なこともあげられます。
発達障害は男女差が大きく、その割合は女子1に対して男子2.4と、男子は女子の2.4倍にもなっているのです。これだけの差があると、男子の発達障害の割合は14%にもなります。早期発見が進んで、アメリカ並みの20%ほどが発見されたとすると、男子は28%にもなります。
こんなにも多くの男子が発達障害だとして、発達障害は治るものではなくて大人になっても特性を引きずるということであるので、社会の働き手の中心、家族の稼ぎ頭であることが期待される男性の3人に1人という状況に近づいてしまったら、これは単に発達障害の対策をすればよいという話ではなくなります。
社員の採用も、社内の人事も、就業の仕組みも、福利厚生も、そして定年の制度も今のままでは成り立たなくなり、新たなシステムの構築が必要という時代になってしまいます。会社だけでなく、例えば自動車のドライバーも男性の28%が発達障害の特性を持っているとしたら、運転免許の教育の内容も、ハンドルを握っているときの注意喚起の内容も違ってきます。道路を歩いている人、自転車に乗っている人、もちろん他のドライバーへの注意も今のままでよいはずはありません。
交通ルールの見直しや、危険な運転をするドライバーへの罰則も変わってくることになります。高齢者や認知症対策の自動車の安全装置や自動運転も、若い人のためのシステムとして見直さなければならないかもしれません。このほかに社会全般で見直しが必要になってくるわけですが、その前にまずは発達障害の理解を進めて、みんなに対策を考えるように呼びかけることが重要だと考えています。そのためのサポーターシステムの構築が発達障害に広く関わる人、つまり多くの人と触れ合う職場や学校のために必要であると認識しています。