発達障害サポーター9 発達栄養学の知識

子どもの支援のための栄養学というと、基礎的な6大栄養素の役割と食品の種類の理解から始まるのが一般的です。まずは不足がないようにするのが重要ということで、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維の6大栄養素が教えられます。これは必要であり、身近な食べ物の意味を覚えるのは理解しやすい方法であることも承知しています。
しかし、発達障害がある人を対象とした発達栄養学は、エネルギー代謝から始めています。脳と身体が正常に機能するようにするためには身体のエネルギーが必要で、そのエネルギーを作り出すエネルギー代謝が行われている細胞のミトコンドリアの機能という、難しそうなところから、あえて始めています。というのは、発達障害の支援、中でも身体を成長させながら機能のためのエネルギーも多く必要とする子どものエネルギー代謝は機能の改善の中心となっているからです。
成長期の子どもに必要とされる飲食から取り入れる摂取エネルギー量は決して少なくはありません。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)によると、男児では3〜5歳で1400kcal、6〜7歳で1650kcal、8〜9歳で1950kcal、10〜11歳で2300kcalとなっていて、成人(18〜49歳)の2650kcalと比べて、身体の大きさからすると、かなり多くの量が必要なことがわかります。
発達障害児の場合には、心身のストレスが大きく、それに対応するだけでも多くのエネルギーが必要で、さらに改善のための運動や学習にも多くのエネルギーが必要です。できるだけ効果的に、多くのエネルギーを作り出して、脳と身体の機能向上に使ってもらうことを重視しています。それなのに、発達障害児では極端な偏食があり、エネルギー代謝を促進する成分の不足からエネルギー代謝が低下しやすくなっています。
そこで発達栄養学では、エネルギー代謝のためのビタミンB群、エネルギー源を代謝できる形にするための水溶性ビタミン、代謝酵素を働かせるためのミネラルなどを解説しています。そして、発達のために必要な栄養は、食事の困難さがあっても食べられるようにすることが重要であることから食べ方に関する情報も重視しています。それについては次回に紹介させてもらいます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)