発達障害児の犯罪率が高いというのは本当か

発達障害児・発達障害者は、消費被害者になりやすく、そのための対策や教育に公的機関も取り組んでいます。消費被害者対策も、発達障害者を対象とした対策で重要な位置を占めるようになりました。人を疑わない、素直すぎることから騙されやすいということですが、本人の思いとは逆に騙す側に回ってしまったという例もありました。これは発達障害者が騙そうとしたというのではなくて、騙そうとする悪い人に悪用されてしまったということで、あくまで発達障害者は被害者です。
消費問題については圧倒的に被害者になりやすいわけですが、ほかのことでは加害者になる場合もあると指摘されています。全国的な統計はまだなくて、部分的な調査結果だけで語るべきではないということは承知しているのですが、あたかも統計によって裏付けられているかのような伝え方もされていることから、あえて紹介させてもらいます。
これは『発達障害と少年犯罪』(新潮新書)の中でも触れられている数字で、少年犯罪は全般的には0.35%の発生率ですが、18歳未満の発達障害児では4.2%と高確率だとされています。計算するとピッタリ12倍なので、発達障害児の犯罪率の「12倍」という数字だけが一人歩きをし始めています。
国の統計では15歳未満人口が発表されていて、約1533万人となっています。あくまで概算ですが、発達障害児が10%とすると約153万人、そのうちの4.2%となると、少年の間に6万4000人ほどが犯罪を起こす確率で、年間では4200人ほどとなります。
社会との交流が苦手で、感情のコントロールができにくい、という特性は何も発達障害に限ったことではなくて、若い世代には共通してみられることではあるものの、その特性が強く現れていると犯罪に巻き込まれやすく、自制がかかりにくいことから犯罪と捉えられることにもなりかねません。興味のあることに集中しただけなのに、これが付きまといや待ち伏せ、ストーカー行為とされることもあります。
発達障害児を早期に発見して、早期に支援をしていれば、そこまで進まなかったということを考えると、発達障害であることが明らかになっても問題がない、隠すことがないという環境を作りのために、まずは発達障害の理解を進める活動に取り組むことが大切だと考えています。