発達障害児への間違った対応が悪化させる

発達障害の特性がわかっていれば、普通ではないと感じるような行動をする子どもがいても、温かく見守ってあげたり、危険や周囲への迷惑がなければ優しく接することもできます。ところが、子どもが急に思わぬ行動をすると叱ってしまう大人も少なくありません。その一番の原因は、発達障害が理解されていないことと、発達障害児の特性が理解されていないことです。
身体的な障害のある人の場合には、注意をすることが行きすぎて叱る、怒るようなことをされても、それでもともとの障害が悪化するようなことはありません。精神的なショックが身体的な障害を絶対に悪化させないのかというと、そうではないかもしれません。しかし、因果関係が証明されるほどの影響は出ないと推定しています。
これに対して、発達障害は脳の発達のズレが大きな原因であり、対人関係が苦手、急な変化に対応できないという特性を考えると、叱られたことによって、外に出ることや人と触れ合うことに支障が出て、状態を悪くすることにもなりかねません。そのことが理解できていれば、注意をするにしても言い方、接し方が違ってくるはずです。理解ができていないために、感情のままに発達障害児に対応してしまったら、その子どもの今の状態だけでなく、将来にわたっても影響を与えることにもなりかねません。
発達障害を理解するためのサポーター制度を、認知症サポーターをモデルとして作り、限られた地域からスタートさせることにしていますが、理解のための講習は、まずは多くの発達障害児・発達障害者と触れる機会が多い職種から始めることにしています。こういった職種は、普段から優しい接触を心がけているはずなので、理解もしてもらいやすく、すぐに行動にも起こしてもらえるはずです。実際に必要となるのは街中で子どもたちの勝手な振る舞い(?)を快く思っていない一般の方々で、そこまで理解の輪を広げるためには、地域で大きな交流人数を抱えている団体などの力が絶対に必要になると考えて、支援者の輪を広げようとしているところです。