発達障害児向けのサプリメントはあるのか

認知症と、その予備群である軽度認知障害が増えてきたことで、その対策のためのサプリメント(健康食品)も増えてきています。とはいっても認知症になると特定の栄養素を摂っても手遅れという段階で、軽度認知障害がサプリメントの使用対象者となります。軽度認知症には的確な医薬品はなく、改善のために指導されるのはバランスの取れた栄養、適度な運動、充分な休養です。そのうちの栄養では、これに不足した栄養素をプラスするということでサプリメントは効果が期待できます。
発達障害は感覚過敏から極端な偏食となりがちで、栄養バランスも崩れやすいので、確かにサプリメントの使用は期待されるところです。しかも、サプリメントは医薬品ではなくて食品に分類されるので、摂りすぎても問題はないように思われがちです。しかし、発達途中の子どもにサプリメントを与えてもよいのかということについては疑問があります。というのは、サプリメントの試験は成長期の子どもでは安全性の試験が行われていないからです。
サプリメントは子どもだけでなく、妊娠の可能性がある女性でも、病気の人でも試験は行われていません。成分に問題はなくても、食品として加工されるときには何が入るかわからないので、有効性試験と安全性試験をするときには、危険度が高いとされる人は試験から除かれています。ということで、子どもで試験が行われていないのに、それが子どもの発達に効果があるということを述べてよいのかということが指摘されているのです。
とはいえ、栄養バランスのためにサプリメントを子ども与えている例は少なくありません。通常でも不足しやすい亜鉛は成長のために必要なミネラルです。多くの医師が亜鉛を与えるようにしているのも事実です。素材としての安全性は確保されていると主張していることが多いものの、GMP基準という医薬品と同等の安全性が確保された工場で製造されていないと、素材は安全でも入ってはいけないものが入ってしまうことにもなるので、GMP基準で製造されたものかということは確認する必要があります。