第三の脂肪は皮下脂肪蓄積から始まるのか

朝のテレビの情報番組の中で、第三の脂肪について取り上げていて、その説明の途中で脂肪が蓄積している順番について紹介していましたが、私たちが情報発信していることとは異なる順番でした。そのシーンが終わった途端に、他局のディレクターからメールが入りました。私たちの情報とは異なるが、どちらが間違っているのか、という内容でした。
第一と第二の脂肪は内臓脂肪と皮下脂肪です。そして、第三の脂肪は異所性脂肪と呼ばれるもので、肝臓、心臓、筋肉に蓄積される脂肪です。異所性脂肪は、そんなに新しい情報ではないのですが、番組の中では新しい発見だと説明していました。また、コメントの医師は質問が出るたびに研究途中だと繰り返していましたが、これには違和感が残りました。
内臓脂肪と皮下脂肪は脂肪細胞の中に中性脂肪が蓄積されるのに対して、異所性脂肪は内臓の中に蓄積されていきます。肝臓に蓄積されるのは脂肪肝につながる脂肪です。肝臓は脂肪を蓄積する働きもありますが、正常な状態では5%ほどの蓄積です。ところが、蓄積されすぎて30%を超えると脂肪肝と判定されます。脂肪が蓄積した肝細胞は正常な働きをしなくなるので、肝機能が大きく低下します。世界三大珍味のフォアグラはガチョウの脂肪肝で、鶏の白肝も脂肪肝です。心臓の異所性脂肪は心筋に蓄積され、心臓のポンプ作用を低下させます。筋肉の中に脂肪が蓄積されると、グリコーゲンの蓄積を阻害すると同時に、インスリンが分泌されても筋細胞にブドウ糖を充分に取り込めなくなるために血糖値が上昇するインスリン抵抗性が起こるようになります。
気になって仕方がなかった脂肪が蓄積される順番については、番組では皮下脂肪に脂肪が多くなると内臓脂肪に蓄積され、続いて異所性脂肪が蓄積されると説明していました。いきなり皮下脂肪に蓄積されるのではなくて、内臓脂肪に多く蓄積されると皮下脂肪に蓄積されます。皮下脂肪には限界があるので、そのあとに内臓脂肪にたまり、異所性脂肪が蓄積されます。番組では内臓脂肪が蓄積されていない人は異所性脂肪が蓄積されにくいような伝え方をしていたものの、実際には皮下脂肪が少ない男性のほうが異所性脂肪が蓄積されやすいという実態とも異なっていました。