筋代謝力を高める歩き方

筋肉の力というと、一気に大きな力を出す“筋力”と、長時間にわたって力を発揮する“筋持久力”があげられますが、もう一つ“筋代謝力”があります。筋代謝力というのは、筋肉の代謝の力です。代謝というのは、生命の維持のために外から取り入れた無機物や有機化合物を素材として使って行われる合成や化学反応のことで、一般には“新陳代謝”と呼ばれていることです。筋肉の代謝というのは、糖質と脂質をエネルギー源として用いて、生命維持と活動に必要なエネルギーを作り出すことで、筋肉を動かすことによって発揮されるものです。
運動科学の世界では、運動をすることによって筋肉によって作り出されるエネルギー量のことを指していて、筋代謝力を高めることによって、同じように身体を動かして、同じように筋肉を使っても、消費されるエネルギー量が高まっていきます。この筋代謝力を高めることができれば、糖質や脂質を多く摂っても太りにくくなり、もしも血圧や血糖値、中性脂肪値などが高まるようなことがあっても、運動をすることによって正常な状態に戻していくことができるようになります。
筋代謝力を高めることによって一番に求められるのは、血糖値の降下と中性脂肪値の降下です。血糖値というのは、血液中のブドウ糖の量を示す値です。ブドウ糖は筋肉の白筋が消費するものです。筋肉は瞬発力を発揮すると白筋と、持久力を発揮する赤筋があります。その名のとおり、白筋は白くて、赤筋は赤くなっています。赤筋には脂肪酸を代謝によって消費するミトコンドリアが多く存在していて、運動によって動くことによって、脂肪酸が消費されていきます。
赤筋を鍛えて増やしていくには有酸素運動が必要で、中でもウォーキングをすることによって赤筋が太くなり、刺激されるたびに脂肪酸が消費されるようになります。歩くことによってブドウ糖は消費されないのかというと有酸素運動であっても白筋も刺激されてブドウ糖も消費されます。つまり、歩いてブドウ糖を多く消費する筋肉を増やすためには、歩くことも有効だということです。歩くほどに赤筋も強化されて、歩くほどにブドウ糖が消費されて、血糖値が安定していくようになるということで、「だから歩くことが大切」ということを話させてもらっています。