“筋肉は第二の肝臓”が意味すること

“第二の○○”という言葉は健康の世界ではよく使われるフレーズで、第二の心臓というと足のふくらはぎ(脹脛)のことで、心臓のポンプ作用をふくらはぎの筋肉の収縮が補っていることを指しています。第二の脳というと腸のことで、腸が自律神経のコントロールをしていることを指しています。この有名なフレーズに続いて言われるようになったのが“筋肉は第二の肝臓”です。
肝臓ではブドウ糖をグリコーゲンに合成して、蓄積する働きがありますが、グリコーゲンは筋肉の中にも蓄積されます。そして、血糖値が下がったときには、肝臓でも筋肉でもグリコーゲンがブドウ糖に分解されて血液中に放出されます。肝臓ではアンモニアが吸収されて分解されていますが、筋肉もアンモニアを吸収して分解しています。アンモニアの吸収の割合は、肝臓が60%、筋肉が27%とされています。筋肉の量が多ければ、もしも肝機能が低下しても筋肉がカバーしてくれるということです。
肝臓の機能が低下したときには、肝臓を回復するために運動をしないで休養することがすすめられますが、筋肉が肝臓の一部を補うということになると、寝てばかりいるよりも、筋肉を増やすための運動を少しはしたほうがよいことがわかります。
筋肉を増やすための運動は無酸素運動で、いわゆる筋トレによって筋肉に強い負荷をかけることによって筋繊維の(筋肉細胞)一部が切れて壊れます。これを修復するために、筋繊維の周りにサテライト細胞(衛星細胞)という筋肉細胞の前駆細胞が損傷した筋肉の周りに集まってきます。サテライト細胞は普段は休んでいる状態ですが、筋肉が損傷したときには活性化されて、筋繊維を増やすようになります。この働きは超回復と呼ばれていて、運動をしたあとの24〜48時間に起こっています。
筋肉を増やして肝機能を補うためには、筋肉運動も重要ですが、運動をしたあとに休息を取ることも大切だということです。