糖尿病で認知症のリスクは高まるのか

糖尿病になると認知症のリスクが高まるのかという疑問に対する答えは「そのとおり」です。アルツハイマー型認知症のリスクは、糖尿病の人と、それ以外の人では2倍ほどもリスクが高いことが確認されています。アルツハイマー型認知症では脳細胞のアミロイドβの蓄積が進んでいくことが知られています。
糖尿病になると血糖値が上昇します。血糖値が上昇するほど膵臓からインスリンが多く分泌されます。インスリンは血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませる働きを終えると、これは余分なものとして分解されます。その分解をするインスリン分解酵素には、アミロイドβを分解して脳の外に排泄する働きがあります。インスリンの分泌量が正常な状態ではインスリン分解酵素は適切にアミロイドβを適切に排泄してくれるのですが、インスリンが多くなりすぎるとインスリン分解酵素が使われすぎて、もう一つの働きであるアミロイドβの分解と排泄が遅れるようになります。
血糖値が上昇するのは、細胞にブドウ糖が充分に取り込まれていないからです。全身の細胞はブドウ糖のほかに脂肪酸もアミノ酸もエネルギー源とすることができます。しかし、脳細胞はブドウ糖しか取り込んで使えないという特徴があります。ブドウ糖が充分に取り込まれていなければ、脳細胞の中で作り出されるエネルギーが少なくなり、エネルギー不足から脳細胞の働きが低下していくことになります。
細胞に取り込まれたブドウ糖は、細胞の中のミトコンドリアに入ってエネルギー代謝が起こります。ブドウ糖がミトコンドリアに入るためには代謝促進物質のα‐リポ酸が必要になります。α‐リポ酸は体内で合成されるものの20歳をピークにして減少し続けます。認知機能の低下が進む高齢者ではα‐リポ酸はかなり減っているので、実は認知症の大きな原因はα‐リポ酸の不足ではないかと考えられているのです。
サプリメント成分としてもα‐リポ酸は補うことはできるのですが、α‐リポ酸には天然型のR‐αリポ酸と非天然型のS‐αリポ酸があり、体内で使うことができるのはR‐αリポ酸だけです。R‐αリポ酸と表示されているサプリメントを選ぶことです。R‐αリポ酸はシクロデキストリンと組み合わせないと分解されて、その働きが得られなくなります。成分名にシクロデキストリンが使われているかもチェック項目となります。