糖尿病は病気なのかについての再考

糖尿病は“病”という文字がついていても病気ではない、という未病の立場での考え方について、これまでにも紹介してきました。しかし、糖尿病になると治療薬が使われることから、薬なしには健康な状態に戻ることができなくなるということで、病気と考えるしかないという意見も、未だに根強くあります。そういった考えに対して、未病の立場を応援する日本メディカルダイエット支援機構では、糖尿病を2つに分けることを提案しています。それは糖尿病と高血糖症です。まずは単純に“病”と“症”での区別です。
今の分類は血糖値とヘモグロビン(Hb)A1c値が基準値を超えた場合に診断される糖尿病と、基準値以下でも数値が高めの糖尿病予備群です。厚生労働省の国民健康・栄養調査では糖尿病患者は糖尿病が強く疑われる者、予備群は糖尿病の可能性を否定できない者とされています。具体的な数値を示すと、糖尿病患者は空腹時の血糖値が126mg/dl以上、食後2時間の血糖値が200mg/dl以上、HbA1c値が6.5%以上とされています。糖尿病予備群は正常域を超えて、空腹時の血糖値が110mg/dl以上、126mg/dl未満、食後2時間の血糖値が140mg/dl以上、200mg/dl未満、HbA1c値が6.0%以上、6.5%未満とされています。
同じ糖尿病の範疇であっても、インスリンは減っていても分泌されていて、治療薬を使わずに食事と運動だけで血糖値とHbA1c値を安定させることができて、合併症が起こっていない状態では“病”ではないとの認識で、高血糖症としています。
高血圧の場合は、治療が必要な段階となると高血圧症と呼ばれますが、これも“病”ではなくて、自力で健康な状態に戻すことができます。以前は「高血圧症で薬を使ったら一生やめられなくなる」と言われたものですが、今では食事と運動によって改善することも可能となっています。
これに対して糖尿病のほうは、食事と運動だけでも重症にならなければ元に戻すことができます。そもそも糖尿病は治療薬を使ったとしても、食事と運動が指導どおりに行われていなければ、治療薬の効果が充分に発揮されません。食事と運動が主で、あくまで薬は従ということです。自分の力で直せるなら、これは病気ではないと言って構わないという考えです。