糖尿病は糖分の摂取を減らせば治ったことになるのか

塩分制限と糖質制限の、どちらが大変なのか、という問いかけがメディア関係者からありました。どちらも大変といえば大変なのですが、高血圧で塩分を大幅に減らすように指導されている人なら、塩分制限と答えるかもしれません。糖尿病で糖分を大幅に減らすように指導されている人だったら、間違いなく糖質制限と答えそうな感じですが、そう考えるのは糖尿病は糖質制限をする必要がある、逆の考え方をすると糖質を制限すれば血糖値が下がって、糖尿病が改善するという思いがあるからです。
しかし、糖尿病の人は糖質が多く含まれる主食のご飯を減らせば、それだけで糖尿病がよくなるという思いは短絡的です。血糖値だけに着目すると、ご飯の量を大幅に減らすことで着実に血糖値は下がります。この血糖値が下がったことがイコール、糖尿病が治ったという結論だったら、問題はないと考えることができます。しかし、血糖値が一時的に下がることで、糖尿病が治るわけではありません。糖尿病は、細胞がブドウ糖を取り込むことによって血液中のブドウ糖が低下した場合には治ったと言ってよいのかもしれないのですが、血糖値を症状させるブドウ糖が多く含まれる糖質を減らして、それで血糖値が下がったことだけを見て、それで治ったと断言するのは乱暴な考えです。
高血圧の人が塩分(ナトリウム)を減らすことによって血圧が着実に低下するなら、これで治ったと言ってもよいのですが、糖尿病の人がブドウ糖を摂らないことで血糖値が下がったことだけに注目して、声高に「治った!」と断言するのは乱暴なことです。糖尿病の治療食でも、エネルギーバランスというと糖質は50〜60%が理想とされます。糖質を減らせば、それでよいということではないのです。脂肪酸を細胞内で燃焼させるには、ブドウ糖が少しは燃える必要があります。このことは爆弾を破裂させるのに、導火線に火を点けて燃えさせることに例えられています。
ブドウ糖が燃焼しないと、脂肪が効率よく燃えなくなります。ブドウ糖を燃焼させるには、当たり前のことですが、一定量のブドウ糖は必要になります。それなのにブドウ糖を極端に減らしてしまう糖質制限をすると、運動をしても肝心な脂肪が燃焼しないことになり、結局は苦労して運動をした割にはダイエットに成功しないことになります。