糖尿病患者が許されるお菓子の量

ダイエットのためには間食は禁止されるものではなくて、有効に活用すればダイエットを成功に導くための強い味方になります。ところが、糖尿病患者のためのメディカルダイエットとなると話が違っていて、禁止が大原則です。単なる“原則”ではなく、絶対に守ってほしい“大原則”となります。
生活習慣病対策のためのセミナーで、空腹を脱却するための間食の話をするとき、果物や野菜を食べることをすすめていて、砂糖が使われているお菓子は危険だということを伝えています。健康な人の場合には食事と食事の間(朝食と昼食、昼食と夕食)におやつを食べても、次の食事の前にはブドウ糖は体内で使われて、血糖値(血液中のブドウ糖の値)は正常な状態に戻っていきます。
しかし、糖尿病の場合には、血糖値を下げるインスリンの分泌量が少ないか、インスリンが分泌されていても細胞に取り込む能力が低い状態になっているので、食後の血糖値が下がりにくくなっています。食事と食事の間で血糖値が下がっていないところに、血糖値を上昇させる砂糖が含まれる甘いものを食べると再び血糖値が上昇します。糖尿病では血糖値が低い時間を長くすることが大切なのですが、それができなくなり、インスリンを分泌させている膵臓に負担がかかることから間食は禁止されているのです。
という話をセミナーでしているのに、質問コーナーで「どれくらいの量なら食べてもよいのですか」という質問が出ることがあります。こちらの伝え方が悪かったのか、食べたいものを禁止される話は耳に入ってこないのかわかりませんが、質問への返答は「食べてはダメです」です。これでは座が白けてしまうので、実際は「ブドウ糖が含まれたものは食べてはダメです」と話しています。甘いものはブドウ糖だけではなくて、果物に含まれている果糖は血糖値を上昇させません。果物といっても甘すぎるものにはブドウ糖も含まれていますが、砂糖に比べたら少ない量です。
砂糖はブドウ糖と果糖が1分子ずつ結びついたもので、半分がブドウ糖です。ブドウ糖の甘さに対して果糖は1.2倍ほどになっています。ブドウ糖も果糖も糖質であるのでエネルギー量は同じく1g当たり約4kcalです。しかし、果糖のほうが甘いので、少ない量で満足感があるということです。
甘みがある糖であってもオリゴ糖は胃で分解されず、小腸から吸収されないので、太らない糖となっています。オリゴ糖はブドウ糖が結びついたものですが、消化酵素は分解することができません。しかし、腸内細菌の善玉菌は分解できるので、腸内細菌にはエサとして使われます。市販のオリゴ糖の中には、成分表を見ると砂糖やブドウ糖が加えられているものがあります。そのほうが甘くて満足度は高まるかもしれませんが、血糖値の上昇を抑えるということでは余計なものが加えられていないオリゴ糖を使って、おやつを手作りするか、飲料の甘みづけに使うことをすすめています。
オリゴ糖については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。