糖尿病患者は低めの温度の入浴がよいのか

交感神経を刺激する入浴法と糖尿病についての関係性について前回、紹介したところ、また雑誌記者からメールが入りました。「副交感神経の働きが盛んな状態だと、どうなるのか」ということで、これは日本メディカルダイエット支援機構がメディアに呼びかけている注意喚起につながることなので、さっそく返答しました。自律神経の副交感神経は心身ともにリラックスさせる作用があり、夕方以降に働きが盛んになります。夕食を食べる時間帯は副交感神経の働きが盛んになっています。
副交感神経の働きによって胃液の分泌と膵臓からのインスリンの分泌が盛んになります。これによって食べたものの消化・吸収を進め、インスリンによって血液中のブドウ糖を細胞に取り込み、肝臓で合成される脂肪酸を増やし、脂肪細胞の中に蓄積される中性脂肪を増やすことができます。この蓄積されたエネルギー源は夕食以降、寝ている間に使われます。1日に使われる消費エネルギー量のうち70%ほどは生命維持のための基礎代謝なので、思ったよりも多くのエネルギー源が必要になることから、できるだけ多く蓄積するための仕組みです。
糖尿病の方、血糖値が高めの方(糖尿病予備群)は、インスリンが多く分泌されて、血液中のブドウ糖を全身の細胞に取り込んで血糖値を下げるようにしたいので、副交感神経の働きが盛んになるように、ぬるめの温度の浴槽につかって、身体を芯から温めるようにすることが大切だということになります。糖尿病で太っている方の中には、インスリンは脂肪酸合成を進めるということを知ると、血糖値を下げつつ、脂肪酸合成が進んで太らないようにしたいと望む人もいます。そういった質問をセミナーで受けたこともあるのですが、インスリンが減れば血糖値が下がりにくく、インスリンが増えれば脂肪酸合成が進むので、結論的には難しいどころか不可能ということになります。
太るのを抑えるのにインスリンのことを考えるよりも、ウォーキングなどの有酸素運動によって血液中のブドウ糖を消費すること、脂肪細胞の中に蓄積されている中性脂肪を減らすことを考えるべきでは、という話をさせてもらっています。