糖質制限はダイエットに有効なのだろうか

糖質制限でターゲットにされているのはブドウ糖です。ブドウ糖が血液中に増えると、膵臓からインスリンが多く分泌されます。インスリンには全身の細胞にブドウ糖を取り込むために必要なホルモンですが、それと同時に肝臓での脂肪酸の合成を促進する働きもしています。だから、糖質制限をすると合成される脂肪が減って、ダイエットにつながるというのが、よく言われる理屈です。しかし、ブドウ糖不足になると、全身の細胞に取り込まれるブドウ糖の量が減って、細胞の中で作り出されるエネルギーが少なくなってしまいます。
細胞の中で作られたエネルギーは、その細胞の中でしか使われないのですが、ブドウ糖を取り込んで作り出されたエネルギーは、次にエネルギー源として細胞に取り込まれてくる脂肪酸をエネルギー化するのに使われます。ブドウ糖は早く細胞に取り込まれて、すぐにエネルギーを作り出す機関(ミトコンドリアの中のTCA回路)でエネルギーに変換されます。その代わり、その時間は短くて、例えば運動をするときに主なエネルギー源になるのは10〜15分です。
脂肪酸は長くエネルギー化することができるエネルギー源で、有酸素運動をしている限りはエネルギーが作り出され、このエネルギーを使って有酸素運動を続けることができます。ダイエットは、脂肪細胞に蓄積された中性脂肪を分解して、分解されて血液中に放出された脂肪酸を筋肉細胞の中でエネルギー代謝させることです。このエネルギー代謝は、一般には“燃焼”と表現されています。脂肪酸をエネルギー源として細胞の中で作り出されたエネルギーは、全身の器官を正常に働かせるためのガソリン役となります。
全身の器官は脳によってコントロールされています。脳細胞はブドウ糖しかエネルギー源にすることができないので、ブドウ糖不足は脳の機能を低下させることになります。ブドウ糖を充分に与えられることで脳細胞の働きが充分になれば、全身の働きもよくなって代謝が高まるということで、ブドウ糖が補われることはダイエットの効果も高めることになるのです。