経歴を自慢話にしないために、という話

言い方がよくなくて、せっかくの話が伝わらなくて、なんだか面白くないセミナーや講演になるというのは、よくあることです。それなら、少し評判が悪くなる程度で済むのですが、相手が反発して元も子もなくなるということもあります。まずは、評判に関わる話のほうからさせてもらいます。
日本メディカルダイエット支援機構の相談役である薬学博士の久郷晴彦先生は、「講演で知らない言葉が三つ出てくると聞いてくれなくなる」と言っています。有料の講演会なら元を取り戻そうという思いもあって、それなりに頑張って聞いてくれるのですが、無料の講演会で、しかも義理で参加したという人になると、三つどころか二つ知らない言葉が出てきただけで眠ってしまうこともあります。
天気がよくない日のほうがまだマシで、久郷先生は晴彦という名前のとおりで、講演の日は圧倒的に晴れが多くて温かな日差しのために眠気を誘いやすいのだといいます。その傾向は女性のほうが強いのだとか。
できるだけ専門用語を使わないようにして、専門用語を使うときには簡単に説明を加える、難しいと感じさせる話をしたときには“ひと呼吸”を入れるようにすると話します。ひと呼吸というのは案外と難しいのですが、ちょっとしたギャグでもよくて、免疫細胞のマクロファージの話をするときに、覚え方として次の話をされます。
タバコを吸う人の肺の中のマクロファージは白い色がだんだんと黒くなり、最終的には真っ黒になるということを話した後に、「そこでマックロファージと覚えたらよい」と言うと、その場でウケるだけでなく、記憶に残って、帰り際にもマクロファージのことを話している人がいるといいます。
次に反発された人の話ですが、その場に当法人の理事長が同席していたことから何度か聞いています。ウォーキングの全国団体の専務理事を紹介してほしいというので面談の場を設けたときのこと、専務理事は、仕事を理解してほしいとの思いもあって、いろいろと団体の実績や自分の関わりについて話をしてくれました。この話を聞いて、では自分の実績は、という話をして、一緒にできること、組めることは何かということを探っていく場であるはずなのに、その仕出かしてしまった人は、なんと「今度は私が自慢話をさせてもらいます」と言って話を始めたので、完全にぶち壊しになってしまいました。
それなのに、先方から反応がないことに対して、?を繰り返すだけで、まったく気づいていないようでした。これを批判するのではなく、例えば講演をしているときに自分のこと、自分たちの団体のことを話すのはよくあることですが、これを自慢話と捉えられないようにすることは、多くの方々に理解してもらい、実践してもらって、健康になってもらうことを願っている立場としては肝に銘じなければならないことです。
経歴は自慢するようなことではなくて、反省すべきことの連続であった身からすると、当然のことではあるのですが。