老衰死が急増している理由

厚生労働省から人口動態統計月報年計(平成30年)が発表になりました。これは出生と死亡に関する統計調査で、出生数は91万8397人、死亡数は136万2482人と減少傾向に歯止めがかかっていないことがわかります。数多くの調査資料の中で特に注目しているのは死因のランキングです。男女合計では第1位は悪性新生物(腫瘍)、第2位は心疾患、第3位は老衰、第4位は脳血管疾患、第5位は肺炎の順となっています。
男性では第1位は悪性新生物(腫瘍)、第2位は心疾患、第3位は脳血管疾患、第4位は肺炎、第5位は老衰の順となっています。女性では第1位は悪性新生物(腫瘍)、第2位は心疾患、第3位は老衰、第4位は脳血管疾患、第5位は肺炎と、これは男女合計と同じランキングとなっています。
老衰は昭和22年をピークに減少が続いていましたが、平成13年以降は死亡数・死亡率ともに増加して、平成30年の全死亡者数に占める割合は8.0%となり、脳血管疾患を抜いて第3位となっています。老衰は、それまで他の病気で亡くならなかったということで、比較的健康に過ごしてきた人に多いということができます。このことを考えると老衰で亡くなったということは自宅で最期を迎える人が多いのかと思われがちですが、実際には亡くなった場所を見ると病院、老人ホーム、自宅の順となっています。
女性のほうが老衰の順位が上にランキングされているのは、それだけ女性が元気で長生きになっている証拠で、女性のランキングと男女合計ランキングが同じだということは、これは長生きである女性の人口が多いという証拠です。日本の高齢者は健康度が高まっていることから、日本老年学会と日本老年医学会は「高齢者を75歳以上にすること」を提言しています。これは男女ともに、とは言われていますが、女性のほうが平均寿命が男性よりも6年以上も長いことから考えると、女性のほうが元気で、“生き延びる力が強い”ということになりそうです。

人口動態統計