肉食は動脈硬化を起こす要因なのか

肉に含まれるL‐カルニチンは体内の脂肪を減らす重要成分です。少しだけ詳しく説明すると、L‐カルニチンには全身の細胞のミトコンドリアに脂肪酸を通過させる働きがあります。L‐カルニチンが多ければ、それだけ脂肪酸をミトコンドリアに取り込み、ミトコンドリア内で作り出されるエネルギー量が増えていきます。これによって血液中の脂肪(中性脂肪)が減って、動脈硬化のリスクを低下させます。中性脂肪は、脂肪酸3個がグリセロール1個と結びついた蓄積型の脂肪です。肝臓の中で脂肪酸は中性脂肪に合成されています。
L‐カルニチンは肉類の中でも羊肉に多く、牛肉にも含まれています。羊肉を食べると太りにくい、やせると言われるのは、L‐カルニチンのおかげです。その科学的なメカニズムは明らかになっていて、私たちもL‐カルニチンの機能性は充分に理解しています。というのは、日本メディカルダイエット支援機構の副理事長がL‐カルニチン研究の第一人者で、L‐カルニチンが医薬品成分から食品成分として認められるのに尽力した方だというのは健康業界では、よく知られています。
科学雑誌の『nature medicine』にはL‐カルニチンの摂取は動脈効果を進行させるとの報告が掲載されています。マウス試験の結果ですが、L‐カルニチンを多く与えると腸内細菌によって分解されて、トリメチルアラニンに変化して、さらに肝臓でトリメチルアラニン‐N‐オキサイドに代謝されます。トリメチルアラニン‐N‐オキサイドにはコレステロールを組織に沈着させる働きがあり、動脈硬化を進行させるリスクが指摘されています。L‐カルニチンそのものには何も問題はなくても、腸内細菌が悪玉の性質に変えてしまうので、L‐カルニチンが含まれる赤身肉の食べすぎには注意が必要であると言われます。
L‐カルニチンの研究が進む中、肉食では問題が起こる可能性があっても、サプリメントとしてL‐カルニチンを摂ると血液中の脂肪酸の減少から動脈硬化のリスクを下げてくれることが指摘されています。