肥満になると歯周病になりやすい

高齢になっても自分の歯を多く残している人は活動量が多く、認知症のリスクも低いとされています。この結果をテーマにしたテレビ番組も増えています。歯を失う原因は齲蝕(うしょく)よりも歯周病のほうが多くなっています。齲蝕というのは虫歯のことです。歯周病は40代では50%を占めていて、高齢者の65歳では60%ほどとなっています。歯周病になると歯を失うだけではなくて、糖尿病や心臓病、脳卒中、骨粗鬆症、免疫低下、肥満症など全身への影響が明らかとなっています。
この中でメディカルダイエット研究の立場で気になるのは、歯周病が肥満の原因になっていることです。なぜ気になるのかというと、肥満になると歯周病になりやすくなるからです。歯周病→肥満、肥満→歯周病ということで、太っていると歯周病が進み、その結果また太っていくという悪循環を引き起こすということになります。
肥満度の割合が高くなると歯周病の発症率は、正常な体重(体脂肪)範囲の人の3倍にもなるという発表があります。歯周病の原因というと、普通に考えれば歯磨きの回数が少ないことが最大の原因となりそうですが、1日に歯磨きが2回未満の人よりも喫煙量が多い人、それよりも飲酒量が多い人、それを上回っているのが肥満です。肥満としているのはBMI(Body Mass Index=体格指数)が25以上を指しています。BMI25は身長が160cmなら64kg、170cmなら72kgに相当します。
歯周病があると、よく噛めなくなります。噛むことによって脳内ヒスタミンが分泌されて、これが睡眠と覚醒を調整させ、集中力や注意力を高めるので、学習機能も認知機能も高めるとされているのですが、脳内ヒスタミンには食欲を抑制して、代謝の促進(いわゆる脂肪燃焼)につながることが突き止められています。脳内ヒスタミンには褐色脂肪細胞を活性させて脂肪酸の代謝を進めてくれます。ということは噛めないと太るということです。
太っていると歯周病になりやすいは、TNF–αなどの炎症性サイトカインという生理活性物質が関係しています。炎症性サイトカインは内臓脂肪型肥満の脂肪細胞から多く分泌されますが、歯周病を発生させる細胞組織でも分泌されて炎症を起こします。このようなメカニズムによって、歯周病と肥満は悪循環を起こしていくということです。