肥満は都市部よりも農村部で増加する

日本メディカルダイエット支援機構が都市部でのメディカルダイエットによる支援を中心にしてきたときには、肥満は生活習慣の乱れから都市部のほうが多いものだと勝手に思い込んでいたところがあります。しかし、地域活動として岡山県を選択して、活動を始めてみると、むしろ農村部のほうが問題が大きいことがわかり、地域活動3年目に突入している今、食べ過ぎと運動不足の解消を地方こそ取り組まなければならないと実感しています。
それを示すデータを探していたところ、医薬基盤・健康・栄養研究所の発表に突き当たりました。同研究所は成人の体格指数(BMI=Body Mass Index)の世界的動向に関する研究に参加していて、200か国・地域の都市部と農村部の1億1200万人以上の成人の身長と体重のデータを解析しました。1985年から2017年までの33年間で、世界のBMIの平均値は男性で2.2kg/㎡、女性で2.0kg/㎡も上昇していて、上昇分の半分以上は農村部での上昇によるものであったという報告がされています。
肥満というと贅沢の象徴のようにみられることがあるのですが、低中所得国の中にはBMI平均値の上昇分のうち80%以上が農村部での上昇によるものであったことも示されています。農村部ではBMI平均値は男女ともに2.1kg/㎡の上昇でしたが、都市部では男性で1.6kg/㎡、女性で1.3kg/㎡の上昇でした。1985年時点では4分の3以上の国々で男女ともに都市部のほうが高かったものの、33年間かけて多くの国々で農村部と都市部との差が縮まり、逆転した国々もあります。
日本を含む高所得国では1985年以降、BMI平均値は特に女性で全体的に農村部のほうが高く、農村部での低所得、健康教育の機会の減少、健康的な食べ物の入手困難・高価格、運動施設の少なさが要因として指摘されています。しかし、それ以上に肥満に関係しているのは歩数の少なさで、自動車がなければ生活できない環境が歩く機会を減らしています。
その改善に、私たちは歩く健康法、つまり歩くだけでなく肥満の予防・改善のための効果的に体脂肪を減らすウォーキング法であるインターバルウォーキング(速歩と普通方向の繰り返し)をすすめているのです。